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福井知事 老朽原発再稼働同意・・各界・専門家 批判の声

替えられぬ箇所の劣化心配

東京大学名誉教授(金属材料学) 井野博満さん

 原発の運転はもともと40年までと決めました。それ以上の延長は、大変に無理があります。

 老朽原発で懸念されることの一つに、中性子を浴びて原子炉圧力容器の材料がもろくなる中性子照射脆化(ぜいか)があります。もろくなる温度は、高浜1号機をはじめ、かなり高温で安全上厳しい結果ですが、規制委は問題ないとしています。

 しかし、これまで電力会社が原子炉で運転を続けた場合、将来もろくなる温度がどう変わるかを評価するたびに、より高温に結果が出てきています。照射脆化に限っても、このように問題があります。

 以前、旧原子力安全・保安院の高経年化意見聴取会で、美浜原発2号機の2次系の配管をどれくらい交換しているのかと聞いたところ、6割が交換済みでした。それぐらい配管は、ボロボロだったということです。3号機も、同様の状況が考えられます。しかし、圧力容器や周辺部材など替えられない箇所もたくさんあり、そういったところの老朽化が心配です。

 老朽原発には、このほか設計の古さなどがあり動かすのは大変危険です。

見切り発車で問題は山積み

明通寺住職 中嶌哲演さん

 県議会議長宛てに請願書を提出した翌21日から続けた断食をこの日解きました。

 再稼働を急ぎ、焦っているのは国と関西電力です。テロ対策施設工事の遅れから、原子力規制委員会が停止を命じた期限は、高浜原発が6月、美浜原発は10月です。再稼働しても短期間となりますが、国と関電は、今後の老朽炉再稼働のためにも、先行例を示したいのです。福井県民や関西・中京圏住民の不安や安全より関電と国のスケジュールを優先したといえましょう。福井県の「原子力行政の3原則」―(1)原発の安全確保(2)住民の理解と同意(3)地域の恒久的福祉に対し、この間の司法判断は、規制委の安全審査のあり方を否定し、立地自治体の同意だけで原発推進できる時代が終わったことを示すものだと思います。「地域の恒久的福祉」は、フクシマの惨禍が覆したと思います。再稼働に向けた拙速な議論と見切り発車した同意は、こうした問題点を積み残したままだと思います。

 根本的な解決は、菅政権を倒し、政権交代で原発ゼロ法案を実現することです。今度の3国政選挙で市民と野党の共闘がすべて勝利しました。原発を止める世論と運動は力を強めてきていると思います。原発ゼロ社会をめざし、歩み続けたい。

(「しんぶん赤旗」2021年4月29日より転載)