運転中の圧力容器の中性子照射によって、もろくなる老朽化をはじめ機器の設計の古さなど、老朽原発は事故の危険性が高くなります。法律で原発の運転期間を「原則40年」と定めた当初、運転延長は「例外」と政府は説明し、原子力規制員会委員長も「相当困難」と述べていました。
しかし、政府は「40年を超える運転を進めていく」「将来にわたって原子力を持続的に活用していく」として、温室効果ガス削減を渡りに船と再稼働を推し進めています。今回、国は40年を超えて運転する美浜原発と高浜原発合わせて最大50億円の交付金を示し、再稼働へなりふり構わない姿勢があからさまです。
老朽原発の長期運転に対し電力会社はじめ財界はさらなるルールの見直しと延長を要求しています。
日本経団連は3月に出した提言で、「60年間を超えた運転期間延長の可能性について、技術的観点から検討」を求めています。米国で複数の発電所で80年間の運転が認可されているからといいます。また、東京電力福島第1原発事故後、新規制基準の審査などによる長期停止期間を運転年限から除外する方向で制度を見直すよう求めています。電気事業連合会も「エネルギー基本計画」見直しに向けた政府の審議会で、投資回収の見通しが厳しいなどの理由を挙げて、運転期間制度の見直しを検討するよう求めています。安全をなにより優先するなら老朽原発は廃止するしかありません。
(「原発」取材班)
(「しんぶん赤旗」2021年4月29日より転載)