東京電力福島第1原発事故で発生する汚染水の海洋放出方針をめぐって、超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は23日、廃炉・汚染水・処理水に関する公聴会を一方通行の意見募集にはとどまらない形で開催するよう政府に要請しました。
同会は、政府が約2年後に開始するとした海洋放出の方針について、「廃炉」の定義、トリチウム(3重水素)以外の放射性物質、タンク用地確保の努力、漁業者との約束違反、汚染水を増やさない根本対策など、多くの疑問が出ていると指摘。「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」が公聴会を開催し、コミュニケーションの第一歩を踏み出すことを、菅義偉首相、加藤勝信官房長官、梶山弘志経済産業相に強く求めています。
要請には、近藤昭一共同代表、阿部知子事務局長、山崎誠衆院議員、日本共産党の岩渕友参院議員が出席。岩渕氏は「多くの漁業者や福島県民、国民が決定に反対している。これで理解を得られているという認識か。政府の方針からみても、国民的な議論が必要だ」と指摘しました。
経産省の新川達也・原子力事故災害対処審議官は「とても理解が得られている段階ではない」と認め、「どのやり方が良いか模索したい」と答えました。
政府は13日、放射能汚染水からセシウムなどを低減する処理をした後、タンクにためている高濃度のトリチウムを含む汚染水(処理水)を薄めて海に流す方針を決定。それに先立つ9日、同会は政府に対して「汚染水の海洋放出を断じて容認しない」として、廃炉工程の見直し、汚染水の保管などを要請・提案していました。
(「しんぶん赤旗」2021年4月24日より転載)