猶予・許可期限3年後
原子力規制委員会は21日、耐震対策の前提となる原発などで想定される地震の揺れ(基準地震動)のうち、地表に痕跡がない未知の震源による地震の揺れ(震源を特定せず策定する地震動)の新たな評価手法を取り入れる新規制基準の改定を行いました。
原発の新規制基準では、施設周辺の活断層などによる地震の揺れと、未知の震源による地震の揺れ、いずれにも施設が耐えることを求めています。
後者については、マグニチュード(M)6・5未満の地震を全国共通に考慮すべきだとしています。しかしこれまでの審査では、2004年の北海道留萌支庁での地震(M5・7)の観測記録をもとに評価。改定では、加えて2000年以降のM5・0~6・6の89地震の記録を基に統計的に求めた地下の地震の揺れから施設の揺れを評価します。
改定により各事業者は、施設ごとに新たな評価手法で地震の揺れを評価します。従来の基準地震動を超える場合は、施行後9カ月以内に設置変更許可を申請します。
周辺に活断層が見つかっていない九州電力の川内原発(鹿児島県)や玄海原発(佐賀県)などの原発では、基準地震動が低く評価されていることから引き上げられる可能性があります。
新たな基準地震動の許可までの期限は施行から3年。また、耐震補強工事などが必要となった場合の工事完了までの期限は、工事の見通しなどが明らかになった時点で定めるとしています。
今回の改定案は原発のほか、再処理施設やプルトニウム加工施設、一部の研究炉などに適用されます。
(「しんぶん赤旗」2021年4月23日より転載)