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オール国見でたたかう・・原発事故損害賠償を求める 秦 二三男さん(58)

「オール国見でたたかっていく」というのは、東電原発事故損害賠償を求める(福島県)国見の会代表世話人の秦二三男(はた・ふみお)さん(58)です。

国と東京電力に原状回復と損害賠償を求める福島原発訴訟の原告団の一員として福島県伊達郡国見町の原告20人を束ねています。「次の口頭弁論までには100人の原告団にしたい」と言います。

当初は、「原発なくせ、賠償させる会福島県北の会」として東電に直接請求をしてきました。

収穫の終わった田んぼを見る秦さん
収穫の終わった田んぼを見る秦さん

賠償応じず訴訟

東電が交渉の都度損害賠償に応じず、訴訟に踏み切りました。

秦さんは3反の田んぼを耕しながら清掃工場で働く兼業農家です。国見町は、福島県の最北端に位置し、北は宮城県白石市に接し、信達盆地の肥沃な土地に恵まれ、県下有数の種場として良質の種もみを生産しています。

「国見のコシヒカリは新潟県魚沼産にも劣らない風味と食味を持ち、福島県産のブランド維持の一翼を担っている」と胸を張る秦さん。「放射能で汚された土壌はどんなことをしてでも原状に戻させる」と、意気込みます。

国見町は、紀元前3世紀ごろから稲作が始まったことを示す光明寺の山田遺跡や石母田の割田遺跡などがあります。一袋30キロの国見産のコシヒカリは、8000円だったのが5000円から6000円と下落しています。独自に開拓した販売ルートの消費者からは購入を断られるようになりました。

放射能汚染は米だけではありません。国見町の特産品のモモ、リンゴ、柿など果樹類も風評被害で打撃を負いました。あんぽ柿は、2011年、12年と2年連続生産自粛となり、今年(2013年)は放射性物質検査で基準を下回った伊達市、桑折町、国見町の一部を加工再開モデル地区に限定して生産を再開しました。

母親と2人暮らしの秦さん。東日本大震災が発生したときは勤務中でした。交代勤務で夜8時まで職場を離れることができませんでした。自宅にたどり着くと母親はいません。避難先を探すと近所の人と一緒にいて無事でした。「87歳になる母の安全を守りたい」。

その母親が畑で作っていた野菜が放射能汚染で食べられなくなりました。生きがいを無くした母親は、一気に老け込み、認知症が見られるようになりました。

「一度原発事故が起きたなら、避難したくてもできない人がいる。家庭の事情があり、置き去りにされる弱者がいる。国はそうした人たちに何をしなければならないのかを考えていない」。

地域の核となり

国見町の人口は1万人を切りました。「土地は汚されたままです。原発を推進した国も東電もなにも責任を取っていません」。

町内会の副会長を務める秦さんは「地域の核となり、地域再生の突破口を裁判勝利で開きたいです」と話します。「再稼働反対、原発輸出反対です。原発事故の真実が明らかにできなくなる秘密保護法は廃案にしないとダメです」。

(菅野尚夫)

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