福井県若狭湾の原発群で福島第1原発事故と同じような事故が起こった場合、隣接する滋賀県の琵琶湖の湖面のうち最大で20%程度が、飲料水基準を超える放射能で汚染される―。11月18日に開かれた滋賀県の地域防災計画見直し検討会議で、県琵琶湖環境科学研究センターが放射性物質の拡散影響の予測結果を報告しました。
予測は、福島第1原発事故で最も大量の放射性物質を放出したとされる2011年3月15日の状況を想定したもの。福井県にある美浜原発や大飯原発で同様の事故が発生したと仮定し、10~12年度の気象条件のなかから影響が大きいと考えられる日を選んで、陸域や湖面での放射性のヨウ素、セシウムの沈着量を推定しました。
その結果、琵琶湖の湖面全体のうち最大で20%程度にあたる湖面で、事故直後に、国が定めた緊急時の飲料水の基準値を超える汚染となることが推定されました。こうした水域が、長い場合で10日程度残る可能性が示されました。基準値は、ヨウ素が1リットル当たり300ベクレル、セシウムが同200ベクレル。
琵琶湖は、京阪神の1400万人の飲料水などの供給源であり、“近畿の水がめ”とも呼ばれています。滋賀県内には上水道や簡易水道など琵琶湖を水源とする浄水場が計21カ所あります。琵琶湖から直近の美浜原発まで約30キロメートル。福島の事故では、200キロメートル以上も離れた東京の水道水からも、乳児の飲用基準(同100ベクレル)を超える放射性ヨウ素が検出されるなど、広域での水道水汚染が大問題になりました。