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東日本大震災10年 「ささき牧場」物語(5) 家族経営には夢がある

 自ら搾った牛乳を加工販売する「ささき牧場」を継いだ佐々木光洋さんと、新鮮な牛乳を使ったソフトクリームが人気のカフェを開いた姉の国府田(こうだ)純さん(写真)。2人は「家族経営の難しさ」を語ります。

 「牛乳は生産と加工の分業が進んでいる業界」だと光洋さん。生産者が腐りやすい牛乳を殺菌加工し、パッケージまで行う施設を持つのは極めて困難で、「これを家族でやろうと思うのはよっぽどの変わり者ですよ」。

 純さんは「もっと多くの人に『ささき牛乳』を飲んでほしい」と願いますが、小さな牧場で出せる乳量には限界があります。

 それでも光洋さんは、父親の代から地域の消費者に支えられてきた今の牧場のあり方に手応えを感じています。

 「自分のやり方は時代の周回遅れだと思っていたら、実は一番前にいるのではないかと。とくに、コロナ禍で規模拡大とかグローバル化が問われるなかで、地域の中で循環する家族経営は夢がある」

 そして、2人の共通の思いは「地域の活性化」。後継者不足や耕作地放棄の広がりは全国的な課題です。「荒れた農地に放牧して景観を守る。これから僕が地域に貢献できることじゃないかな」。光洋さんの瞳が輝きます。

 (写真・記事 佐藤研二)

 (おわり)

(「しんぶん赤旗」2021年1月14日より転載)