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東日本大震災10年 「ささき牧場」物語(4)・・変わらない風景と「家族」

 「ささき牧場」の牧場主・佐々木光洋さんの1日は、朝6時から始まります。一人で20頭の親牛に牧草を与えて搾乳、清掃…。作業が一段落するころ、牧場に居ついた猫たちが集まってきます。(写真)

 光洋さんは“最初のお客”に牛乳を注ぎながら、「この牛舎ができたのが45年前で、僕が6歳のとき。この風景も牛の数も変わらないんですよ」と目を細めます。飛ぶように動いても2時間半、朝夕2回の作業も変わることはありません。

 父・健三さんが、わずか牛1頭から牧場を始めたのが1961年。家族経営を信念に徐々に頭数を増やし、1987年に自ら搾った牛乳を加工販売する「有限会社佐々木牛乳」を立ち上げます。

 健三さんを手伝ってきた光洋さんは高校卒業後、北海道の牧場で3年間研修します。牛乳を大規模に生産するスタイルは父親とは対照的。しかし、「父の方向性がいいと思った」と言います。

 牧場を継いだ理由は「刷り込まれたから」と笑います。「子どものころ、父と行った牛の品評会が原体験。チャンピオンをとった父の姿を『かっこいい!』と思ってね。人と違うことをやりたがるところも、そっくりかな」(写真・記事 佐藤研二)

(「しんぶん赤旗」2021年1月13日より転載)