核のごみ 空冷貯蔵許可・・伊方原発について規制委
原子力規制委員会は16日、四国電力伊方原発(愛媛県)の使用済み核燃料を空冷で貯蔵する乾式貯蔵施設の設置が新規制基準に適合しているとする審査書を正式に決定しました。
6~7月に行われた意見募集には「四国電力は重大なトラブルが続いている」「地震動評価をやり直すべきだ」「そのまま核のごみ捨て場になるのではないか」など61件の意見がありました。
同施設は、使用済み核燃料を金属製の容器(キャスク)に格納し、動力を使用しないで自然対流で冷却します。約500トン(約1200体)が貯蔵可能。四電は、2024年度の使用開始を目指しています。3号機で発生する使用済みMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料は、貯蔵対象になっていません。
伊方原発には現在、3号機と廃炉が決定している2号機のプールに約720トンの使用済み核燃料が貯蔵されています。3号機の管理容量は約750トンで、2号機プール内の燃料は、同施設の使用開始後、3号機のプールや同施設に移される予定です。
同施設は、日本原燃が青森県六ケ所村に建設中の再処理工場に持ち出すまでの一時的な保管場所という位置づけです。しかし、日本のプルトニウム保有量が高止まりしている中、再処理工場の運転開始時期の見通しはたっていません。
封印損傷を厳重注意・・六ケ所再処理工場 規制庁が原燃に
日本原燃(原燃)の六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)で今年8月、プルトニウム監視のために国際原子力機関(IAEA)と原子力規制委員会が設置した封印の破損が見つかっていた問題で、原子力規制庁が原燃に厳重注意をしたことが16日の規制委の定例会合で報告されました。
これらの封印は、プルトニウムなど核物質の核兵器への転用防止のための査察の有効性を担保するために設置されています。8月5日にプルトニウム監視装置のデータ伝送ケーブルなどを収納する箱に設置した封印が損傷していることが発見されました。封印損傷は今月3日、日本共産党の藤野保史衆院議員の問い合わせに規制庁が回答したことで分かっています。
原燃は9日、原因調査や再発防止策をまとめた報告書を規制庁に提出し、規制庁は同日、口頭で厳重注意しました。
報告書によると、8月3~4日に行われた足場の解体作業時に封印のワイヤにパイプを接触させたことが原因と分析。規制庁は、再発防止策の実施状況の定期的な確認や協力会社も含めた関係者の教育の徹底を指示したとしています。
原燃は、今年3月にも濃縮工場で規制委が設置した封印の破損が見つかり、規制庁から口頭で厳重注意を受けたばかりでした。会合で規制委の更田豊志委員長は「(作業者から)報告されなかったことが重視されるべきだ。原燃の分析は十分だとは思わないし、引き続き、きちんと見てもらわなくてはいけない」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2020年9月17日より転載)