国際環境NGO「FoE Japan」は9月16日、日立製作所が凍結を表明していた英国での原発建設計画から撤退を決めたことについて「原発はもはや経済的にも社会的にも成り立たない。国際社会は脱原発を」とした声明を発表しました。
声明は、撤退決定を「歓迎」するとした上で、「日本政府や企業はこれ以上、限りある資源を原発に投入することはやめるべきだ」と指摘。今でも原発を維持しようとしている日本政府を批判するとともに、国際社会全体として「リスクが高く、経済的な合理性もなく、解決不可能な核のゴミを生み出す原発から一刻も早く脱却し、持続可能なエネルギー社会を構築することが求められている」と強調しています。
解説 日立、英原発から撤退 原発輸出ゼロに
日立製作所が、イギリスで計画していた原発建設の断念で、「成長戦略」として第2次安倍政権が推進してきた原発輸出は、具体的な建設計画がゼロになり、完全に破綻しました。
政府は、福島第1原発事故による世界的な脱原発の世論のもとでも、採算の見通せない原発の売り込みに固執し、資金支援を続けました。
危険な原発建設に対し、イギリスでも日本でも、輸出反対の住民運動が起こりました。
日本による原発建設が進められていたリトアニアでは2012年の国民投票で計画を否決。ベトナムも16年に原発建設計画を白紙撤回しました。
イギリスの原発建設計画の事業費は、安全対策費の増額もあり、当初予定の1・5倍となる3兆円を上回るほど膨張。日立製作所は、日本政府や英政府に支援を要請しましたが、19年1月に「経済合理性の観点」から原発建設の凍結を発表しました。今回の完全撤退は、原発が経済的にも不合理な存在であることをあらためて示しました。(吉川方人)
(「しんぶん赤旗」2020年9月17日より転載)