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福島に生きる 生業訴訟原告 深谷滉さん(81) 絵画で原発事故を発信

 「原発事故からまもなく10年。風化していくことが心配だ」と話すのは福島県須賀川市の深谷滉(ふかや・こう)さん(81)です。

体を鍛えて描く

 深谷さんは画家です。「絵を描き続けるには体を鍛えておかないといけない」と、「3・11」の日は、県内のスキー場にいました。

 激しい揺れで急きょ家に帰ると自宅は半壊状態になっていました。8枚のガラス戸が窓枠から外れていました。修理には業者の仕事が立て込み数日かかりました。

 2011年3月からは「東日本大震災・原発事故を忘れてほしくない」と絵画を描き続けています。

 「作風が変わり行動的になった」といいます。「原発事故のことが人ごとでなく、自分のこととして皆と連帯して考えたり行動したりするようになった。また原発事故は地球上の問題です。放射能のこと、人体への影響など意識して生活するようになった」

 原発をゼロにして、原発被害をなくしたいと「地域を返せ、生業(なりわい)を返せ!」福島原発訴訟の原告に加わりました。

 訴訟の控訴審判決は、9月30日に出ます。

 「判決が出ておしまいとするわけにはいかない。再生可能なエネルギーに政策を転換させるまでたたかいは続きます」と強調します。

「平和の壁に花」

 ふくしま平和美術展の実行委員長も務めます。名刺には「平和の壁に花一輪を」と書かれています。

 「平和でこそ文化の花開く世界をめざして」を合言葉に県内の美術愛好家に呼びかけアンデパンダン形式の美術展を開催して作品を通して出品者の交流を深め、県内外多数の鑑賞者と交流、研さんの機会とする、と深谷さん。

 「民主的で革新的な歩みを誇りに制作発表を続ける」AJAC会員でもあります。AJACは1975年に創設された日本および世界の現代美術の作家組織です。国籍、人種、民族、性別等を問わず、また自由な表現を基本としています。

 国内はもとより、海外の作品展にも数多くの出品をしている深谷さん。

 「東京電力福島第1原発事故を世界に発信するために」創作活動にきょうもとりくみます。(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2020年8月19日より転載)