
原子力規制委員会は7月29日、青森県で建設中の日本原燃六ケ所再処理工場を新規制基準に適合していると認める審査書を決定しました。しかし、同工場は当初の竣工(しゅんこう)予定から20年以上も経過。この間、各地の原発では使用済み核燃料がたまり続けています。一部の原発では数年間の運転でプールがいっぱいになる可能性もあります。(松沼環)
六ケ所再処理工場のプールは、全国の原発から受け入れた使用済み核燃料約3000トンでほぼ満杯。再処理を実施しないと、新たな使用済み核燃料の受け入れはできません。
原燃は2021年度上期の竣工を計画していますが、実現するかは不透明。操業開始時期は、さらに見通せない状況です。
容量の7割強
一方、東京電力福島第1、2原発(福島県)を除くと、各原発で貯蔵されている使用済み核燃料は3月末現在で計約1万2300トン。平均すると各原発で貯蔵可能な容量の7割強が埋まっています。
このため、各電力会社は貯蔵能力の拡大を計画しています。九州電力玄海原発(佐賀県)は、3、4年でプールの貯蔵可能量に達する状態です。このため九電はプール内の使用済み燃料の間隔を詰めることで約290トン分の容量を増やし、敷地内に使用済み核燃料を特殊な容器で貯蔵する乾式貯蔵施設を設置することで約440トン分の貯蔵能力を増強する計画です。間隔を詰める計画は、既に規制委の許可を受けています。
容量を増やす

四国電力の伊方原発(愛媛県)では乾式貯蔵施設で約500トン分の容量を増やす計画。新規制基準に適合したとする規制委の審査書案がしめされています。
また、東電と日本原子力発電が設立したリサイクル燃料貯蔵は、青森県むつ市に約3000トンの使用済み核燃料が貯蔵可能な中間貯蔵施設を建設中です。中部電力の浜岡原発(静岡県)では、約400トンの乾式貯蔵施設を計画。いずれの施設も規制委による審査が続いています。
福井県にある関西電力の高浜、大飯、美浜の3原発は、貯蔵容量を増やす具体的な計画はありません。いずれも5~9年程度運転を続けた場合、使用済み核燃料プールがいっぱいになる見通しです。
関西電力は、福井県に対し、使用済み核燃料を敷地外に保管する「中間貯蔵施設」を県外に建設すると表明。「20年を念頭に、できるだけ早い時期」に具体的な計画地点を示すとしています。
原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し再び原発で使う「核燃料サイクル政策」は、技術的見通しや最終処分の当てもなく、行き場のない使用済み核燃料問題の先送りでしかありません。各社の使用済み核燃料の貯蔵能力の拡大は、破たんの顕在化を遅らせる、その場しのぎです。
これ以上、破たんした政策に固執し、将来世代の負担を増大させることは許されません。
(「しんぶん赤旗」2020年8月18日より転載)