東京電力は11月26日、福島第1原発1~4号機の海側にある観測用井戸から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり91万ベクレル検出されたと発表しました。採取したのは25日で、21日採取の75万ベクレルから上昇しました。原発海側の井戸では、別の井戸で7月上旬に検出された同90万ベクレルを超え、過去最高となりました。
東電によると、今回採取したのは2号機の海側で、護岸から40メートルの地点(1‐16)。高濃度汚染水がたまっており、汚染源の可能性を指摘されているトレンチ(ケーブルなどの地下管路)からも数十メートルの距離にあります。
一方、8月に約300トンの汚染水漏れが発覚したタンク近くに新たに掘った井戸(E‐9)で25日採取した水からは、トリチウムが1リットル当たり5万1000ベクレル検出されました。東電は「漏れた汚染水が地下に広がっている可能性がある」とし、監視を強化するとしています。
漏出タンクから約15メートル離れた別の井戸からは同79万ベクレル検出されて
います。今回新たに掘った井戸は、漏出タンクから北北東へ55メートル。東電は汚染の広がりを防ぐため、26日からこの二つの井戸の間に鋼管を打ち込み、1日約5トンの地下水吸い上げを始めました。
また小動物か・・電源設備警報
福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の電源設備で、また小動物が入り込んだことが原因とみられるトラブルが発生しました。東京電力が26日発表しました。
東電によると、同日午前6時46分に電源設備の異常を示す警報が発生しました。設備は1~4号機の建屋の西側にあり、原子炉冷却に使われる注水ポンプなどに電気を供給しています。
発電所内の電気系統に異常はおきませんでしたが、警報が出た電源設備を調査したところ、小動物のふん、尿が残っていました。
同原発では3月、ネズミが仮設の配電盤に入り込んだために大規模な停電が起き、使用済み核燃料プールの冷却が最長29時間停止する事故がありました。東電は、再発防止策として電源装置に金網を張ったり、隙間をふさぐなど小動物対策をとったと説明しています。
ところが、今回の電源設備の隙間に粘土を敷いた際に1センチ四方程度の穴が開いたままになっており、東電はほかの電源設備にも隙間が残っていないか点検するといいます。