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福島に生きる 新婦人福島支部常任委員 鈴木初子さん(68)・・不屈のたたかい 私も

 福島市に住む鈴木初子さん(68)が東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に遭遇したのは、知的障害児施設で保育士として働いていた時でした。

 激しい揺れで障害のある子どもたちはパニックに。職員は対応に全力をつくしました。数日間停電や断水が続き大変な思いをしました。

 原発事故で出た放射線は福島市などにも拡散されました。放射線量の影響で、施設の子どもたちは大好きな外遊びや散歩もできなくなり室内での遊びを余儀なくされました。「思い出すと心が痛みます」

■施設勤務続けて

 家の窓を開けられない状態が続きました。閉め切った部屋にはカビが発生しました。知人や友人の中には山形県や新潟県に避難する人もありました。鈴木さんは施設の仕事があり避難しませんでした。

 自宅の庭にあった梅の木や柿の木。実がなるのを毎年楽しみにしていましたが、放射能の影響が怖くて切り倒しました。

 2012年3月に定年退職した鈴木さん。施設では40年間働いてきました。保育士の仕事を志したのはテレビドラマの影響から。養護施設の子どもたちが保育士の支援によって明るく生きている姿に感動しました。

 「定年退職後にはワクワクするような生き方をしよう」と思っていましたが、「原発と事故のことが頭から離れずに、晴れ晴れと取り組めない」日々が続いています。現在、新日本婦人の会福島支部常任委員を務めています。

 新婦人福島県本部は、福島県内の全原発10基の「廃炉」の請願を福島県議会に提出。本会議で採択されました。全国の原発立地道県(13道県)では、初めての快挙でした。

 福島原発事故後、福島県内に設置した放射線監視装置(モニタリングポスト)の撤去方針を原子力規制委員会が決めましたが、鈴木さんらはこれに反対の声を上げて方針を改めさせました。

 「国と東京電力の責任を明確にしたい」と「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団に加わりました。

■先人誇りに思う

 「このような事態になり、福島県の沿岸部に原発建設が持ち上がった時に想像を絶する困難がありながらも反対を貫いた人たちがいたことに改めて誇りを感じています。本当に頭がさがります。そのたたかいに学び、私たちも頑張りたい」

 17年10月、国の法的責任と東京電力の過失を認め、断罪した福島地裁判決に大喜びしました。

 仙台高裁での控訴審判決が9月30日に予定されています。

 「国と東電の非を認め、10年になる放射線量の圧迫感に悩まされた被害を償わせてほしい」

 (菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2020年7月21日より転載)