発生源も不特定 再稼働論外
高浜原発3号機(定期検査中、福井県)で1月に発見された2台の蒸気発生器細管の損傷について調査を続けている関西電力は7月19日までに、半年たっても原因が特定できていないと発表しました。また、これまで蒸気発生器内で見つかった金属片についても発生源が特定できず、今後も調査するとしています。同じような損傷が過去に見つかった4号機は稼働中です。専門家は、徹底した調査が必要だと指摘。原因が特定されるまで運転するべきでないとしています。(松沼環)
関電のこれまでの発表では、3号機は1月からの定期検査で3台ある蒸気発生器(SG)の2台(B、C)で外側(2次冷却水側)から損傷した細管が1本ずつ発見されました。異物による傷と推定し、蒸気発生器内を調査したところ、C蒸気発生器と損傷が見つかっていないA蒸気発生器から長さ数センチの薄い金属片を各1片発見しました。しかし、B蒸気発生器では発見されませんでした。また、2次冷却水の排水時に事前に金属製のざるを設置するなどしましたが、異物は見つかっていません。
細管の損傷続く
今回の発表によれば、B、C蒸気発生器の上部など調査範囲を大幅に拡大しましたが、新たな異物は見つかっていません。また関電は、見つかった金属片が配管の接手部などに使われるシール材の一部の可能性があるとして、類似のシール材を使用している20カ所を点検しました。しかし異常は認められなかったといいます。また、C蒸気発生器で見つかった金属片が、細管を損傷させた可能性については調査中としています。
高浜原発では、蒸気発生器細管の損傷が続いています。
2018年9月に3号機で1本の細管で、19年10月は4号機で3台すべての蒸気発生器から計5本の細管で外面の損傷が見つかっています。当時も関電は異物が原因と推定しましたが、いずれも原因と考えられる異物は見つかっていません。関電は2次冷却水の排水時に流出したと説明していました。
原子力規制委員会は関電の説明を受け入れ、昨年の4号機細管損傷時には、異物混入防止対策を手順書に書き加えるという再発防止策を妥当と評価。防止策は、機器内部に立ち入る前に作業服を着替える、ファイバースコープも用いて配管内を確認するなどというものでした。その後、翌20年1月に4号機は起動しました。
一方、3号機では、18年11月の起動前に管内部をファイバースコープも用いて異物がないことを確認したと関電は説明していました。
4号機も点検を
旧原子力安全委員会事務局の元技術参与・滝谷紘一氏は「原因を特定するために、損傷した細管を切り出して詳細な調査をすべきです。また、運転中の4号機でも同様の問題が懸念されます。停止して細管の点検をするべきです。いずれも細管損傷の原因が特定されるまでは稼働させるべきではありません」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2020年7月20日より転載)