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福島第1 汚染地下水くみ上げず  東電タンク不足、海流出続く

東京電力福島第1原発で放射性物質に汚染された地下水が海に流出している問題で、東電は11月28日、2号機と3号機の間で予定していた地下水のくみ上げを当面行わないと発表しました。「タンクの空き容量が少ないため」と説明しています。

2、3号機間の護岸では汚染地下水の流出を防ぐため、土壌を薬液で固めています。地下水をくみ上げなければ水位が上昇し、地中で固めた壁を越え海への流出が続くことになります。

東電によると、汚染水の保管が可能なタンクの空き容量は26日時点で約2万7700トン。既に1、2号機間で地下水のくみ上げが行われていますが、2、3号機間や3、4号機間でも始まるとタンクの余裕が少なくなる可能性があるといいます。

2、3号機間に掘った観測用井戸の地下水では7日、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が放出基準を大幅に超える1リットル当たり6000ベクレル検出されています。

また東電は28日、2号機タービン建屋のトレンチ(ケーブルなどの地下管路)にたまった高濃度汚染水の抜き取り作業を、来年4月ごろから始めることも明らかにしました。来月からタービン建屋とトレンチの接合部を凍らせ、汚染水の流入を遮断する作業を始めます。

無策の結果回収ままならず

解説・・海側のトレンチヘの対策を怠ってきた結果、汚染を広げ、汚染水の回収もままならなくなりました。

事故初期に高濃度汚染水が海へ流出し、1~4号機のタービン建屋から海側へのびるトレンチ内に高濃度汚染水がたまっていることが判明。しかし東電は、トレンチの立て坑などをコンクリートで埋めただけで、汚染水が内部に残った状態で放置していました。

今年5月に1、2号機間の護岸近くの地下水から高濃度の放射性物質が検出されました。トレンチから漏れた水で汚染された可能性が高いとみられています。現在、1、2号機間では地下水のくみ上げを行っています。

東電は、2、3号機間の護岸について、地表をアスファルトで覆い、山側にも薬液を注入して土壌を固め、流れ込む地下水を減らすとしています。

2、3号機間の地下水の放射性物質の濃度は、1、2号機間に比べて低いとされていますが、地下水の流れは正確に把握されておらず、対策を遅らせても悪影響が出ないという保証はありません。

(神田康子)

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