東京電力福島第1原発の放射能汚染水を処理した後に薄めて海に流す案などの処分方法を政府が検討している問題で、超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は4月29日、経済産業省と東電から聞き取りをしました。
ゼロの会は、タンクの汚染水のうち、処理設備で除去できないトリチウム(3重水素)以外に残存しているストロンチウムなど、それぞれの放射性物質の総量を公表するよう求めました。東電側は、環境放出が濃度による規制であることを理由に応じませんでした。
立憲民主党の阿部知子衆院議員は「ストロンチウムは魚に取りこまれる。不安が起きて当然だ」と述べ、少なくともデータがある主要な放射性物質は総量を算出し説明責任を果たすよう求めました。
オンライン参加した日本共産党の岩渕友参院議員は、本紙の取材に、東電の態度は「不誠実だ」と指摘しました。
これに先立ち、岩渕氏は28日、汚染水の処分方法について政府が地元自治体や農林水産業など「関係者のご意見をうかがう場」の開催を進めている問題で、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか国民的な議論ができる状況ではないと、経産省に当面の中止を求めています。
岩渕氏は、意見を聞く対象が一部の団体や首長に限定されているほか、双方向のやり取りもなく、福島県民や国民全体の議論とはいえないと批判。「結論ありきで進めようとするやり方に問題がある」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2020年4月30日より転載)