東京電力福島第1原発で増え続ける放射性汚染水の取り扱いについて、政府が福島県の首長や団体代表らの意見を聴く会合が4月13日、福島県と東京都を結んでのテレビ会議で開かれました。国の小委員会が取りまとめた報告書を踏まえ、政府が汚染水の取り扱い方針を決定するため、6日に続く2回目の開催です。意見表明に対し政府側からほとんど質問がありませんでした。
小委員会が2月にまとめた報告書は、原発事故で出た汚染水を処理した後の高濃度のトリチウム(3重水素)を含む水の取り扱いとして、水蒸気放出と海洋放出を現実的な選択肢としています。
会合では、福島県商工会連合会などの業界代表、いわき市長や双葉地方町村会の8町村長の12人が意見を表明しました。
福島県農業協同組合中央会の菅野孝志会長は「安全性に対する信頼の揺らぎや風評払拭(ふっしょく)に対する懸念がある中で、現実的であるとする水蒸気放出と海洋放出の二者択一には反対」と述べ、安全性の担保や風評被害の未然防止に国が前面に出てていねいに説明することなどを要望しました。
食品スーパーマーケットのヨークベニマルの真船幸夫社長は、水産物に及ぼす影響などの情報提供と風評被害の事前防止策がなければ「放出に至るべきではない」と指摘。いわき市の清水敏男市長は「今後30年ほど影響が出かねない問題。拙速に結論を出すのでなく、政府として改めてあらゆる検討を」と要望しました。
(「しんぶん赤旗」2020年4月14日より転載)