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還流・原発マネー 関電第三者委報告から・・体質改善 残る疑問符

辞任後の会見で頭を下げる関西電力の岩根茂樹前社長(左から2人目)=3月14日

 福井県高浜町の森山栄治・元助役(故人)から自社幹部らが多額の金品を受け取っていた問題を、組織的に隠蔽(いんぺい)していた関西電力。それにとどまらず、金品受領の当事者たちを厚遇し続けたことも分かっています。企業体質は変わるのか―。

隠蔽の中昇進

 金品受領問題が発覚したきっかけは2018年初頭、金沢国税局が森山氏と関係の深い企業への税務調査を始めたことでした。この結果、金品を受領した関電幹部は修正申告し、追加納税をしています。

 しかし翌年6月の関電の株主総会では、金品を受け取った幹部が次々と昇進しました。

 計1億1千万円相当を受け取った豊松秀己氏は取締役を退任しましたが、原子力関係を担当する「エグゼクティブフェロー」に就任。報酬は月額490万円とされました。

 第三者委員会(但木敬一委員長)の報告書は、この報酬に「金品受領に関し豊松氏が納付した追加納税分の補てんも含まれていた」と指摘。「追加納税は個人の税務上の問題で職務執行に関するものとは言いがたく、正当性を認めることは困難」と批判しました。

 また、税務調査があった18年の株主総会では取締役ら向けの新たな報酬制度も創設。「業績向上に向け貢献意識を高めるため」との名目で、豊松氏や、森山氏から859万円相当を受け取っていた八木誠前会長も対象者でした。

 これらは、金品受領問題を株主にも社会にも公表しないまま決定されています。関電が事実を認めたのは、問題が報じられた19年秋でした。

 第三者委はたびたび、「身内に甘い」「極端な内向き文化」「ガバナンス(企業統治)の機能不全」などと関電を批判。体質改善を求めています。

 第三者委の報告が公表された今年3月14日、関電は岩根茂樹前社長のほか、嘱託となっていた八木氏や豊松氏らの辞任を発表しました。岩根氏は会見で豊松氏への「補てん」について問われ、「私と八木(前会長)で相談して決めた。反省している」と述べました。

旧体制の存続

 新社長に選ばれた森本孝氏はこの席で、「私の使命は第三者委の提言を厳粛に受け止め、再発防止と信頼回復に向けて関電グループをけん引すること」と語りました。

 しかし森本氏自身が、16年から取締役副社長を務めてきました。旧体制の存続ともとらえられ、会見では「企業文化の継続にしか見えない」という質問も飛びました。岩根氏は「社内の人間だからこそ関電の抱える課題、企業風土がよくわかるんじゃないか」と擁護しました。

 関電は発電量のうち原発の占める割合が高く、原発依存度が高いのが特徴です。会見で森本新社長は原発を柱とする電源構成について「今後も変わらない」と語り、原発推進路線の維持も明確にしました。今月、関電の新たな会長に内定したのも、原発推進の旗振り役を務めてきた榊原定征・日本経済団体連合会前会長でした。

 関電OBの坂東通信(みちのぶ)さんは「第三者委の報告では、関電の体質が浮き彫りとなった。しかし、国会での追及なしに幕引きとし、刑事告発も見送ったのは問題だ。関電は生まれ変われるのか。危惧している」と語ります。

 「社内には経営層の姿勢に疑問を持つ者もいる。現役社員のモラルに期待したい」

(「しんぶん赤旗」2020年4月9日より転載)