原発事故と海の幸

 東京電力・福島第1原発事故で打撃を受けた福島の漁業。漁獲量を少しずつ増やしながら、失った販路の回復にむけた活動に取り組むなど、復興への地道な努力を重ねています。スーパーや生協なども、福島のおいしい魚を消費者に届けようと応援しています。

 ○…その一つが、大手スーパー「イオン」が東京や埼玉などで展開している常設コーナー「福島鮮魚便」です。「マネキン」と呼ばれる対面販売スタッフにエース級も投入され、認知度アップ。イオン広報担当者によると、2年前のスタート以来、取り扱い量は順調に伸びているといいます。

 ○…売り場を訪れた子ども連れの主婦が、試食したり調理方法を教わったりして「不安だったけど、おいしかったので買って帰る」といった反応も。当初は客の半分ほどあった不安の声は、1~2割にまで減ったといいます。

 ○…先月、ある売り場を訪ねました。アンコウ、ヤリイカ、カナガシラなどが並ぶなか、エメラルドグリーンの瞳が輝く深海魚メヒカリにひかれました。「天ぷらやフライにしたらおいしいですよ」とマネキンさん。淡泊な白身がサクッと柔らかく、小学生の息子たちも喜びました。事故発生から9年。いまなお食の安全・安心を取り戻す長い道のりの途上です。(秀)

(「しんぶん赤旗」2020年4月8日より転載)