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水産業打撃「不可避」・・福島原発処理水放出なら 漁業者訴え

 東京電力福島第1原発事故で出た放射能汚染水を処理した後、薄めて海に流す案を政府と東電が検討している問題で、漁業者の話を聞く会が4月2日、東京都内で開かれました。主催は国際環境団体「FoEジャパン」。

 福島県の小名浜機船底曳網漁協理事の柳内孝之さんが、回復途上の福島漁業の現状を報告。処理水を海洋放出することになれば「水産業への大きな打撃は避けて通れない」として、タンクによる長期保管を求めました。

 柳内さんは、原発事故で汚染された海の状態が徐々に回復しつつあるものの、いまだ低迷する漁業を「震災前の状態に戻すには時間がかかる」と述べました。魚の水揚げ量が減ったことにより、市場の買受人が半減していると指摘。取扱量を増やすために必要な設備投資・人員確保について「先行きが見通せなければ尻込みする」と訴えました。

 福島の漁業が復興するためには別の産地に奪われたシェアを取り返さなければならず、風評被害の克服へ「安心・安全を前面に出さないと、なかなか回復しない」「福島の海を今より浄化しないと、いろんな方々に受け入れられない」と述べました。

 FoEジャパンは同日、経産相に対して、処理水の処分方法についての意見聴取の対象を狭く絞らず一般市民も意見表明できるようにすること、長期保管案など代替案の討議の機会を設けること―などを要請しました。

(「しんぶん赤旗」2020年4月3日より転載)