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東電が青森・東通村に2億円・・企業版ふるさと納税活用 “原発立地自治体との癒着生む”

 東京電力ホールディングスは、今年も東通(ひがしどおり)原発を建設中の青森県東通村に企業版ふるさと納税を活用して約2億円の寄付を表明しています。企業版ふるさと納税は最大で寄付額の一部が控除される仕組みで、企業と立地自治体との癒着を生むものと批判の声が上がっています。

東北電も表明

 東電は3月4日、東通村に対し、2019年度の地域再生計画の事業に関する寄付の申し出をしました。東電は、昨年3月にも同村の18年度の事業に約2億円の寄付を実施。計4億円の寄付となります。

 東通村には、同村に原発を立地している東北電力も、企業版ふるさと納税を利用して昨年と合わせて2年連続の寄付を表明しています。

 東電東通原発1号機は、11年1月に着工しましたが、福島第1原発事故後に工事が中断されました。昨年になって東電は、東通原発の建設・運営のため体制を強化し、地域への貢献を具体化するとした「行動計画」を示しました。

 東通村の越善靖夫村長は、今年の新年のあいさつで「東北電力1号機の停止、東京電力1号機の本格工事の中断が8年を超える長期に及び、当村の行財政はもちろん、地域経済への影響が年々深刻化を増し、非常に強い危機感を抱いている」「原子力発電所との共生による村づくりを進めてまいる所存」と述べています。

 東電は、福島第1原発事故の賠償のため国費が投入されていながら、被災者の救済に背を向け続けています。3月26日には、同社に原発事故で避難を余儀なくされた216人の住民が慰謝料などを求めていた裁判で、計約7億3400万円の支払いを命じた仙台高裁判決(3月12日)を不服として最高裁に上訴しています。

 企業版ふるさと納税は、16年度から導入され、企業が自治体の地方創生事業に寄付すれば、その一部を法人税などから差し引く制度。これまでの制度では寄付額の最大6割が軽減されましたが、20年度の税制改革で、最大9割に軽減幅を拡充することが盛り込まれました。事実上、寄付額が税金で払い戻される仕組みです。

 日本共産党は、企業と地方自治体との癒着を生みかねないと企業版ふるさと納税に反対してきました。

原発推進のための寄付

 いわき市民訴訟原告団長の伊東達也氏の話 東電は、原発事故の賠償問題では被害を受けた住民が集団で申し立てたADR(裁判外紛争解決手続き)の和解案を拒否しています。裁判でも東電の賠償を命じたこれまでの地裁判決に対して東電はすべて控訴しています。さらに仙台高裁の判決では、原告側から、謝罪して判決に従い、速やかに解決せよと求められても受け入れないという、被災者への賠償とか支援はすべて拒否する態度です。その一方で、原発事故を起こした当事者にもかかわらず東通村とか日本原電の東海第2原発の再稼働のためのお金は出すと言っています。東電が「新々・総合特別事業計画」などでいう「福島への責任」は全くごまかしです。

(「しんぶん赤旗」2020年4月2日より転載)