晴男 東日本大震災から9年たったね。
秋平 もう9年、というべきか。まだ9年、というべきか。
晴男 被災地をみると、防潮堤ができたり、道路も整備され、かさあげした住宅地に新しい家が並んだり、一見すると復興が進んでいるように見えるね。
秋平 自宅の再建や復興公営住宅などへの入居も進んだけど、避難生活を続けている人は、復興庁の調べでまだ約4万8000人もいるよ。
汚染水で大問題
晴男 東京電力福島第1原発事故が起きた福島県では、4万人以上が避難を続けている。
秋平 福島では原発事故の放射能で汚染された帰還困難区域の解除が進んでいるけど、解除地域に実際に戻った住民は3割にも達していない。
晴男 深刻だね。避難先での仕事や学業が定着した人もいるけど、何よりも帰還して以前のような生活を送れる環境でないことが帰還を妨げている要因だからね。
秋平 加えて、福島では原発から出る放射能汚染水の処理をめぐって大問題が起きている。
晴男 政府の小委員会が、汚染水の海洋放出方針を「現実的」としたものだから大変だ。
秋平 福島では、放射能汚染から試験的操業しかできなかった漁業が、この2月に全面解除され本格的操業ができるようになった矢先だけに、原発処理水の海洋放出案に「とんでもない」と漁業関係者は反発している。
晴男 当然だよ。復興に逆行する動きだね。
秋平 復興公営住宅に入居できた人でも、収入が増えたことで退去を迫られている人も多い。
晴男 自宅を再建したり、購入したりする余裕もない被災者もいるよ。
秋平 働き盛り世代が復興公営住宅からいなくなり、高齢者ばかりになればコミュニティーが維持できなくなり、孤独死が増える素地にもなりかねない。
被災地は三重苦
晴男 消費税増税に加え、被災沿岸の基幹産業である漁業の大不漁と水産業の不振、昨秋の台風被害など被災地は二重苦、三重苦なんだ。
秋平 いまこそ国の手厚い支援継続が必要になっているね。安倍政権の被災地切り捨て政策を許さないたたかいを盛り上げたいね。
(「しんぶん赤旗」2020年3月14日「おはようニュース問答」より転載。見だし=山本雅彦)