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3・11東日本大震災 悲劇の海原 見つめ9年・・原発事故なければ家族も… 福島・浪江

地震のあった午後2時46分に黙とうする人=11日、福島県浪江町請戸の大平山霊園

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から9年の3月11日、被災地では「あの日を忘れない」と追悼の碑に手を合わせ、献花する人たちの姿がたえませんでした。

 福島県浪江町請戸の大平山霊園は、福島第1原発から5キロに位置しています。請戸小学校を見渡す位置にあり、間近に海が見渡せるところ。大地震後に児童、生徒たちは大平山まで避難し、津波から難を逃れた場所です。

 福島県の郡山年金者組合の「被災地探訪」に参加した小沼利正さん(77)は「請戸小学校では子どもを一人も死なせなかった。この場所には何度もきましたが目を見開いて真実を後世に伝えていきたい」と語っていました。

 福島県伊達市から墓参りにきた女性(31)は「兄と両親は今も見つかっていません。毎年この時期になりますとここにきて手を合わせますが悲しみが増すばかりです」と涙ぐみます。

 この地域の消防隊員は、救出に向かうものの原発の爆発によって救出を途中で断念。行方不明者がいながら、撤退を余儀なくされた「悲劇の海原」となった場所。

 郡山市から家族と墓参りに来た女性(65)は震災のとき浪江町に住んでおり、津波で両親と弟を亡くしました。「原発事故のために浪江に入れず3人を探しに行くことができませんでした」。何日も相馬市の遺体安置所に通い、4月に弟、5月末に父、7月にようやく母を見つけたといいます。

 いまも自宅は帰還困難区域にあり、家を修理することも、取り壊すこともできません。「雨漏りがして、穴があき、イノシシや盗難の被害に遭いましたがどうすることもできません。放射能がなければ家族を捜しに行けたし、家にも帰れたかもしれません。原発は安全だと聞かされてきたけれどウソだった」と話しました。

3・11東日本大震災 連帯の行動

札幌

 原発問題全道連絡会(道原発連)と国民大運動北海道実行委員会は11日、「3・11東日本大震災・福島原発事故から9年 鎮魂と連帯のメモリアル行動」を繰り広げました。

 強い風が吹き、雪が舞う札幌駅前は、道民に外出自粛を強く要請した影響で人通りが激減。団体代表と個人22人が横断幕やのぼりを掲げ、リレートークしました。震災発生の2時46分すぎに全員で黙とうしました。

 道原発連の米谷道保代表委員は「震災、原発事故から9年がたっても約4万8000人が依然故郷に戻れず、避難を強いられ、到底復興したとは言えない」と厳しく告発。北海道商工団体連合会の長谷聡子事務局次長は「復興は進んでいるというが、被災者の生活や生業(なりわい)は戻っていない。政府の責任で原発をなくせと声を上げ続けよう」と訴えました。

 前日に福島から北海道に避難した人たちが起こした裁判で、国と東京電力の責任を認めた判決が出たと強調した日本共産党の畠山和也前衆院議員・比例候補。「再稼働せず、原発ゼロを決断するのは政治がやるべき仕事です。国民多数の声を結集し、原発ゼロをめざす政府をつくろう」と呼びかけました。

3・11東日本大震災 福島に向き合う
東京・日比谷
地震が襲った午後2時46分に黙とうする「ピースオンアース」の参加者たち=11日、東京都日比谷公園

 東日本大震災・東京電力福島第1原発事故から9年となった11日、犠牲者を追悼する集会「311未来へのつどいピースオンアース」が、東京・日比谷公園で開かれました。「311東日本大震災市民のつどい」が主催し、参加者は地震が襲った午後2時46分に黙とうしました。同集会は東日本大震災後、追悼の場として2012年から毎年行われ、今年で9回目を迎えました。

 集会では、歌手の加藤登紀子さんや加藤さんの娘で歌手のYaeさんなどのアーティストらがステージに立ち震災から9年を振り返るトークイベントやライブを行いました。

 あいさつで加藤さんは「福島の問題から逃げず向きあうという意味もピースオンアースに込められている」と紹介。東京電力福島第1原発事故後の実情に触れ「政府は帰還困難地域を帰還できる地域に変えているが、実際に帰還できる人は少ない。帰還できる町になったところから政府は被災者に何の責任も負わなくなってしまう。福島の人たちは何重苦もの災害を背負っている」と訴えました。

 神奈川県相模原市の玉川達幾さん(42)は「9年たっても忘れられない。明日がどうなるのか分からないということをまざまざと見せつけられた衝撃的な出来事だった。いまだに多くの行方不明者がおり復興もまだまだ。3・11は特別な日」と話しました。

さらば原発 茨城・つくば

 東日本大震災から9年となる11日、茨城県つくば市で「さよなら原発!守ろう憲法!昼休み集会」が開催され、約50人が集いました。「戦争をする国づくりNO@つくば」と「安倍9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」の共催です。

 主催者の山本千秋さんは「市民と野党の一致点を広げよう。安倍首相の改憲発議ストップへ対話を広げよう」と呼びかけました。

 東海第2原発運転差し止め訴訟原告団の大石光伸さんは「福島原発事故でどれだけの家族や地域社会が分断されたか。原発は犯罪的なもの」と強調。目先の利益のために同原発再稼働をめざす日本原子力発電を批判し、粘り強くたたかう、と述べました。

 「いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎共同代表は、東海第2原発再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定に向けて、全県で約8万人の署名が集まったと報告。県民投票の実現に向けて「着々と運動を進めたい」と決意を述べました。

 「憲法9条の会つくば」の阿部眞庭さんが「原発にさよならし、9条を守ろう」と訴えました。

(「しんぶん赤旗」2020年3月12日より転載)