中国電力が建設を計画する上関原発(山口県上関町)の予定地をめぐり、海面埋め立て工事の延長許可の可否判断を先送りにしたため、事務経費などの公金支出がかさんだとして、山口県の住民が県を相手取り、村岡嗣政知事らに賠償請求を求めた訴訟で、広島高裁(森一岳裁判長)は1月22日、一審山口地裁判決を覆し、住民らの請求をいずれも棄却しました。住民側は上告する方針。判決で森裁判長は、公有水面埋立法は正当な理由がある場合、知事が免許延長を許可できると規定しており、その期間に制限はなく、いつまでに判断するかは知事の裁量で決めることができると述べました。
一審山口地裁は、2013年3月に当時の知事が県の定める期間を過ぎて許可判断を留保したことは、裁量権の逸脱に当たり違法と認定。県に対し、村岡知事らに事務経費計240円を請求するよう命じました。
高裁判決を受け、住民側事務局長の小畑太作さん(52)は「突き落とされたような気持ち。驚きを禁じ得ない」と話しました。村岡知事は「県の主張が認められたものと考えている」とのコメントを出しました。
(「しんぶん赤旗」2020年1月24日より転載)