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2020年度 予算案の焦点(3)・・エネルギー・中小企業 原発・石炭火発に固執

 2020年度当初予算案のエネルギー対策費は9008億円(19年度比96億円減)です。原発・石炭火発の開発や存続のための予算が並びました。

気候変動で流れに逆行

 「原子力産業基盤強化事業」として新規に12億円計上しました。原子力関連機器・サービスの「安全性や信頼性向上」のために技術開発や再稼働、廃炉などの現場を担う原子力人材・技術・産業基盤の維持と強化を図ります。

 19年度から始まった「革新的な原子力技術開発支援事業」には2・5億円増の9億円を計上。小型炉など新型原子炉の開発を目的としています。大手原発メーカーの三菱重工、東芝、日立製作所などへも補助金を出します。

 高速炉の技術開発の拡充を目的とした「高速炉に係る共通基盤のための技術開発委託費」には40億円を計上しました。日本と共同で進めていた高速炉ASTRID(アストリッド)の開発をフランスが断念するなど核燃料サイクルは破たんしているのに、研究を進める方針です。

 石炭火発などの開発を含む「次世代火力発電の技術開発事業費」に155億円(19年度比44億円増)を計上しています。地球規模の気候変動が深刻化し、脱石炭火発・脱原発を求める世界の流れに逆行しています。

 「太陽光発電の導入可能量拡大等に向けた技術開発事業」は新規に30億円を計上しました。太陽光発電の効率化や軽量化など、ビルの壁面や重量制約のある工場屋根への設置を可能にするための技術開発をします。

一般歳出の0.27%に

 中小企業対策費として経産省、財務省、厚生労働省を合わせ、1753億円(19年度比37億円減)を計上しました。設備投資や事業継承の支援など、中小企業を取り巻く課題に対応していくために「必要な予算を計上」としていますが、一般歳出に占める割合はわずか0・27%です。地域経済や雇用を支える中小企業の役割から見て不十分です。

 「中小企業信用補完制度関連補助・出資事業」には73億円(19年度比14億円増)を盛り込みました。事業承継や経営力強化を資金面で支援します。

 中小企業への賃上げ支援策「業務改善等助成金」には11億円を計上。19年度より4億円増え、対象企業の緩和など制度も拡充しています。

 小規模事業者の販路開拓などを支援する「自治体連携型持続化補助金」には12億円(19年度比2億円増)を盛り込みました。しかし各自治体を窓口とした制度のため、制度が整っていない自治体では活用ができないといった偏りがあります。

 (つづく)

(「しんぶん赤旗」2020年1月23日より転載)