陽子 東北電力女川原発(宮城県石巻市、女川町)2号機について、原子力規制委員会が新規制基準適合との判断を示したわ。
のぼる 2011年の東日本大震災で被災した原発だよね。高さ13メートルの津波に襲われて、あわやという事態だった。被災原発を動かすなんて問題じゃないか。
建屋ヒビだらけ
陽子 火災もおきたし。想定した揺れを超えた地震にこれまで何度もあっていて、原子炉建屋はヒビだらけで変形しやすくなっているって。
のぼる 東北電力は、海抜29メートルの防潮壁を造って、その基礎の地盤改良工事も必要になって対策工事に約3400億円もかけるそうだ。工事完了は20年の予定だそうだ。
陽子 その額は、特定重大事故等対処施設、いわゆるテロ対策設備は含んでいないよ。
のぼる 今後、再稼働をめぐる地元合意が課題になるというけど。
陽子 そういえば、原発30キロ圏内の住民が10月に、事故が起きた時の広域避難計画に実効性がないと、県と石巻市に対して再稼働同意の差し止めを求める仮処分を申し立てたわ。
のぼる 自治体の再稼働合意の差し止めを求める訴えは珍しい。避難ルートの渋滞とか、高齢者施設入居者など要支援者らの避難の困難さ、台風などの複合災害対策がないという問題を指摘しているんだって。
実効性ない計画
陽子 東日本大震災の被害を受けた地域だから、避難の問題は切実に感じているはず。女川原発は牡鹿半島の中ほどに位置しているし、その先の住民の避難も課題よ。
のぼる 原子力災害対策特別措置法では、地方公共団体の責務として住民の生命、身体、財産を災害から守るために防災計画を作成することと、これを実施するとある。地方自治体は、実効性のある計画ができていないのなら再稼働に合意することはできないはずだ。
陽子 県議会では自民・公明会派の反対で否決されたけど、今年、女川原発再稼働の是非を問う県民投票条例を求め提出された署名は11万人を超えたよね。
のぼる 何かあったら被害を受けるのは住民だ。地元では市民らが今後も再稼働ノーの声を強めていくといっている。
(「しんぶん赤旗」2019年12月7日より転載)