原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理ら5人の専門家チームは12月7日、関西電力美浜原発(福井県美浜町)で原子炉直下などを通る敷地内の破砕帯(断層)が活断層かどうかを調べる現地調査を初めて行いました。原発の新基準は活断層の上に原発は建設できないとしており、活断層と判断されれば廃炉になる可能性があります。
1日目の調査後、島崎氏は、破砕帯の活動年代を示す堆積物が敷地内にないことなど調査の困難さがあるとして、「他の調査方法がないか、今後議論になると思う」と述べました。
専門家チームは敷地内の表層をはぎ取った地点や、トレンチ(溝)など7ヵ所を観察するとともに、ボーリング調査で抜き取った試料を調べました。
同原発の敷地内には9本の破砕帯があり、うち2本が1、2号機の原子炉直下を、4本が3号機の原子炉建屋直下を通っています。東約1キロメートル地点に長さ15キロの活断層「白木(しらき)—丹生(にゅう)断層」があり、敷地内の破砕帯と連動する可能性が注目されています。また、美浜原発に通じる送電線が同断層を横切っており、その危険性を指摘する声もあります。
同原発をめぐっては昨年(2012年)8月、旧経済産業省原子力安全・保安院が敷地内破砕帯の活動性について追加調査を指示。関電は表層のはぎ取りとボーリングによる調査を行い、今年7月に活断層の存在を否定する結果を規制委に提出しています。
調査は2日間。8日は敷地外の地形を視察し、白木—丹生断層との関連を調査します。
美浜原発 1号機は1970年11月、2号機は72年7月に運転を開始。いずれも原子炉等規制法が定める原則40年の運転期間を超えています。76年12月に運転を始めた3号機では2004年8月、タービン建屋で配管が破断し、高温の水蒸気が噴出する事故が発生。作業員5人が死亡、6人が重傷を負いました。