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序盤論戦を見る・・関電疑惑 “再稼働利権”浮き彫りに

 関西電力幹部らが福井県高浜町元助役から3・2億円分の金品を受け取っていた「原発マネー」還流疑惑は、衆参両院での代表質問と予算委員会の審議で、国の原発再稼働推進にかかわる“再稼働利権”という本質が浮き彫りになりました。与党は、野党が求める関電幹部らの国会招致を拒否するなど、真相究明にふたをする姿勢を示しています。

 日本共産党の志位和夫委員長は8日の衆院本会議で、高浜町の森山栄治元助役(故人)から関電幹部にわたった金品は「原発マネー」の還流だと指摘。その原資は国民の電気料金であり、原発再稼働のために関電側が行った2度にわたる家庭向け電気料金の値上げを認可してきた政府・経産省の監督責任を厳しくただしました。事件の構図から誰がみても「原発マネー」の還流なのに、安倍晋三首相は「関電が調査をしている」と述べるだけです。

■国策と一体不可分

 この「原発マネー」還流の背景をさらに追及をしたのが、日本共産党の藤野保史議員です。11日の衆院予算委員会で、「『国策』として推進されてきた原発と一体不可分の問題だ」と強調。▽原発立地自治体の高浜町へ経産省から2008年から現在まで4人の出向者がいること▽出向が始まった時期は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して原発燃料として利用するプルサーマルを政府が推進する時期と重なること▽経産省からの出向者が、プルサーマル導入への交付金を前提とする地域振興計画の策定にかかわっていたこと―を明らかにしました。

 さらに日本共産党の井上哲士議員は16日の参院予算委員会で、高浜原発3、4号機の再稼働が進む中、関電の役員報酬が倍加している事実を突きつけ、その流れの中で関電幹部が原発再稼働のための安全対策工事に深くかかわる森山元助役から3億2千万円も金品を受け取っていたと指摘しました。これに対し、菅原一秀経済産業相は「企業の報酬は一定の裁量が与えられている」などと答弁。井上氏は「関電幹部の金品の受領は『一企業の金銭不祥事』などと矮小(わいしょう)化してはならない」と主張しました。

 井上氏は、森山氏の関連会社が自民党の稲田朋美幹事長代行や世耕弘成参院幹事長に政治献金をしていたことをあげ、「政治家を含む闇に徹底的にメスを入れることが必要だ」と真相究明を求めました。

■関係者招致を拒否

 重大なのは、安倍首相が、不正を行った関電幹部らが設置した「第三者委員会」の調査待ちにし、与党も野党が求める関電関係者の国会招致を拒否していることです。日本共産党の小池晃書記局長は9日の参院本会議で、「金品を受け取った当事者たちがつくる『第三者機関』は“第三者”になりえない」と批判。関電の関係者を国会に招致し、真相解明のための国会の責任を果たすよう求めました。

 立憲民主党の今井雅人議員は10日の衆院予算委員会で、監督官庁として関電の関係者に「国会の要請があればしっかり説明するよう指導してほしい」と菅原経産相に繰り返し求めました。

 一方、疑惑発覚当初、「事実なら言語道断」「厳正に対処する」(9月27日の記者会見)と述べていた菅原氏は、「国会のことは国会で決めて」と的外れな答弁に終始しました。

 原発推進の国策のもとで起こった利権疑惑です。政府、とくに経産省が主体的に調査をすると同時に、国会が国政調査権を発動し、関電関係者の参考人招致を実現し、真相究明を進めるべきです。

(「しんぶん赤旗」2019年10月24日より転載)