東京電力福島第1原発事故で福島県から東京都内などに避難した17世帯47人の住民が国と東電に総額約4億円余の損害賠償を求めた東京訴訟第1陣控訴審の第1回口頭弁論が10月17日、東京高裁(大段亨裁判長)で開かれ、原告と国が意見陳述しました。
原告のほとんどが国の避難指示区域外の避難者。団長の鴨下祐也さん(51)は、福島県いわき市から避難した経過を語り、区域内・区域外と区別する国に対し、「やむなく住み慣れた地を離れた私たちを勝手に線引きした」と指摘。福島の豊かな自然が「放射能汚染で奪われたことを、今も悔しく思う」と述べ、「私たちの叫びに耳を傾けて」と訴えました。
また、原告弁護団は、規制権限義務が生じる予見可能性がなかったという国に対し、2002年に国の機関が公表した地震予測「長期評価」の信頼性の根拠は揺るがず、敷地を超える津波を予見できたと主張。東電の推計に基づいて建屋の水密化などの津波対策を取っていれば事故は防ぐことができたと述べました。
一方、国は11年3月の津波と東電が推計した津波は規模や方向など全く違い、事故は防げなかったなどと述べました。
次回は来年1月24日です。
18年3月の一審の東京地裁判決は、国の責任を認め、国と東電が連帯し計約5900万円を支払うよう命じました。
(「しんぶん赤旗」2019年10月18日より転載)