原発マネー還流疑惑で、関西電力高浜原発がある福井県高浜町の元助役などから1億円以上の金品を受け取った関電の豊松秀己元副社長。関電の原子力事業本部長や業界団体・電気事業連合会(電事連)の原子力開発対策委員長として、安倍政権の原子力政策の方向性を議論する国の審議会で原発推進の“旗振り役”として再稼働や新増設、リプレース(建て替え)など原発の保護・延命策、地元への支援を求めていました。(「原発」取材班)
豊松氏が参加していた審議会は経済産業省の「総合資源エネルギー調査会原子力小委員会」。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて原発を将来にわたって使い続けるとした安倍政権の第4次エネルギー基本計画の閣議決定(2014年4月)を受けて設置されました。基本計画の原発分野に関する方針を具体化するために、同年6月から開催されました。
豊松氏は議決権のない専門委員でしたが、関電の副社長・原子力事業本部長として発言するだけでなく、電力各社の原子力部門の責任者でつくる電事連の原子力開発対策委員長として、資料にもとづき何度も報告しています。
14年8月には、原発の再稼働ができないため、福島原発事故前と比較した売り上げが2分の1以下の工事会社もあると関電の例を挙げて説明。「一番困るのは、いつになったら、これがどうなるんだ、というビジョンがないので、各社が経営計画を立てられない」と「危機」を強調。「将来の原子力ビジョンを早く示して」と訴えています。
関電の社内調査報告書によると、豊松氏の金品受け取りは10年から17年まで毎年あります。合計額は、1億1057万円相当です。審議会で発言していた14年には▽50万円分の商品券▽米ドルが2万ドル▽金貨50枚▽スーツ仕立券が2着分―を元助役から受け取っています。(つづく)
(「しんぶん赤旗」2019年10月17日より転載)