原子力規制委員会が原発の再稼働の前提となる新規制基準の審査状況を11月13日、報告しました。今年新たに審査に“合格”した原発はなく、再稼働した新たな原発もありません。
報告によると、北海道の泊原発の場合、敷地を走る断層は活断層の可能性が否定できないと規制委が2019年2月に指摘。北海道電は追加の地質調査を行い、目下その結果をめぐる審査になります。福井県にある日本原子力発電の敦賀原発2号機の審査は原子炉直下を通る活断層問題のとば口にあり、審査資料に1千を超える記載ミスも明らかにまりました。
審査中の原発のうち、「おおむね審査済み」とされたのが宮城県にある女川原発2号機です。8年前の東日本大震災と余震で想定を超える揺れに襲われた原発で、原子炉建屋に多くのひびが明らかになり、耐震性などの議論で審査が長期化しました。
その女川原発で、地元住民が避難計画に実効性がないと宮城県と立地自治体の石巻市に対し、再稼働の同意をしないよう求める仮処分を申し立てました。住民は、避難ルートの渋滞や複合災害対策、病院の入院患者ら要支援者の避難が困難だなどの問題点を挙げます。
万が一にも原子力災害を起こしてはならないと最高裁決定でもいわれる原発の安全性。しかし、審査で避難計画の実効性は検証されず、再稼働の道筋だけが決まっています。
守られるべき住民の安全は無視。関電では原発マネーの還流疑惑も浮上しています。再稼働の道理の無さが、幾重にも国民の前に現れています。
(「しんぶん赤旗」2019年11月14日より転載)