参院選では、原発推進の政治か、原発ゼロへ向かう政治にするのかが争点の一つです。東京電力福島第1原発事故は2011年3月11日の発生から8年4カ月―。いまなお8万5千人(「日経」3月17日付)が避難生活を続けているのに、安倍晋三政権や東電は“事故は終わったもの”として被害者支援や賠償を次々と打ち切っています。一方、安倍政権が目玉にしてきた原発輸出政策は完全に破綻しています。原発に固執する姿勢はあまりに無責任です。
参院選で原発ノーの声を示し、再生可能エネルギーの大胆な拡大へと転換する機会にしましょう。
原発依存社会への逆行
自民党は参院選政策のエネルギーの項目の中で「原発の再稼働を進めます」と明記しました。さらに「原子力に対する社会的信頼の獲得に向け全力を注ぎ…」と強調しています。どの世論調査をみても再稼働反対、原発ゼロの声は過半数です。多くの国民が原発に不安を抱いているなかで、エネルギー政策で原発・原子力にこだわる自民党の公約は世論に逆行するものです。
自民党の公約は「2030年エネルギーミックスの確実な実現」をうたいます。これは、昨年7月に安倍内閣が閣議決定した「エネルギー基本計画」の推進を意味します。同計画では、原発を「重要なベースロード(基幹)電源」と位置づけ、30年度の電源構成で「20~22%」を原発でまかなうとしています。現在は原発9基が再稼働し、発電量に占める割合は約3%です。これを何倍にも引き上げようというのがエネ計画です。廃炉が決まっているもの以外の既存原発の再稼働だけでなく、建設中の原発まで、30基以上を動かす規模です。
こんな“原発依存社会”に逆戻りさせる自民党に、政治を任せるわけにはいきません。
安倍首相や自民党は、再稼働させる原発は“世界でもっとも厳しい規制基準に適合したもの”と主張します。しかし、「新基準」自体、福島原発事故の原因究明もないまま、再稼働ありきで決められたものです。事故の際の住民の避難計画も自治体任せで、実効性はありません。
規制委が、テロ対策を5年先送りして再稼働を認めた原発は、電力会社が費用負担などを理由にテロ対策を講じてこなかったため、来年から順次、運転停止に追い込まれようとしています。再稼働を最優先でおし進めた矛盾はいよいよ明白です。
安倍政権の原発輸出が行き詰まったのも、安全対策費などコストがふくらみ、ビジネスとして成り立たなくなったためです。世界で急速に普及が進み、コストが大きく低減している太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの拡大が必要です。再エネ普及・脱炭素にかじをきって、温暖化対策で積極的な役割を果たすべきです。
市民と野党が力合わせ
日本共産党など野党4党が共同で国会に提出した「原発ゼロ基本法案」を審議し、成立させることが不可欠です。5野党・会派が合意した参院選の「共通政策」では「再稼働を認めず」「原発ゼロを目指す」ことを掲げています。
市民と野党の共闘の勝利、日本共産党躍進で、原発ゼロ、再エネへの大転換をはかりましょう。
(「しんぶん赤旗」2019年7月12日より転載)