住宅追い出しやめて・・原発事故避難者ら政府要請
原発被害者団体連絡会と「避難の権利」を求める全国避難者の会は6月20日、避難指示区域外避難者の住宅からの追い出し中止と住まいの確保を求めて復興庁、財務省、国土交通省に申し入れを行い、国会内で緊急記者会見を行いました。
福島県は、国家公務員宿舎に住む避難指示区域外避難者71世帯に対して今年3月末までに退去を求めていました。生活保護や転居先が見つかった世帯など18世帯は4月以降の公務員宿舎の居住を認めましたが、転居先の当てのない53世帯に対して6月にも家賃の2倍相当を損害金として請求すると表明しています。この中には、公営住宅に申し込んで何度も落選している人や病気で転居に耐えられない人などが多く含まれます。転居したくても転居できないでいる人たちです。
申し入れは、転居できない53世帯に対して請求書の送付を中止するよう県に指示することや、公営住宅などへの入居支援策を求めています。
日本共産党の岩渕友参院議員は申し入れと会見に同席し、「2倍請求など許されない。住まいの確保は国の責任でやるべきことだ」と述べました。申し入れには立憲民主、国民民主両党の国会議員も参加しました。
人の数だけ苦しみ・・福島原発生業訴訟口頭弁論開かれる
東京電力福島第1原発事故の被害者約3600人が、国と東電に対し、原状回復と慰謝料を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟、中島孝団長)の控訴審第5回口頭弁論が20日、仙台高裁(上田哲裁判長)で開かれました。裁判官が交代したため、これまでの主張を陳述しました。
原告側は、2002年の地震調査研究推進本部がまとめた「長期評価」によって福島原発を襲う大津波を予見できたこと、「長期評価」は信頼性があり、国は国民の健康と命を守り原発事故を防ぐため、防潮堤の設置だけでなく「原子力建屋の水密化」などが可能で結果回避ができたと主張しました。
国には原発事故を回避させる権限があったことを指摘。憲法で保障された基本的人権が原発事故で侵害されていることなどについて陳述しました。
中島団長は国や東電が「十分放射線量が下がったのに不安と感じるのは非科学の立場」と主張していることに反論。「現実に放射能に追われているという強い恐怖体験をし、その後に続く長い営業損害、ふるさと崩壊、被ばくを心配する心労など人の数だけ苦しみがあることに共感を寄せようとせず反省もせず、人の苦しみを冷たく切り捨てること」だと厳しく批判しました。さらに「被害者の苦しみを救い、このような事故や被害を決して繰り返さぬために、正義ある厳正な判断を心からお願いします」と裁判長に訴えました。
(「しんぶん赤旗」2019年6月21日より転載)