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「耐え難い8年間」・・いわき市民訴訟 原告3人が証言

裁判所まで行進する原告団・弁護団=5月8日、いわき市

 原発事故被害の完全賠償を求める、いわき市民訴訟の第35回口頭弁論が5月8日、福島地裁いわき支部(名島亨卓裁判長)で開かれ、原告本人尋問が行われました。

 裁判長を除く2人の裁判官が交代したことから更新弁論が行われ伊東達也原告団長が陳述しました。

 伊東氏は、国会事故調の黒川清委員長が報告書で「この事故が『人災』であることは明らかで、歴代及び当時の政府、規制当局、そして事業者である東京電力による、人々の命と社会を守るという責任感の欠如があった」と強調しました。

 看護師の舘野睦子さんが医療現場の混乱と苦悩を証言しました。舘野さんは「国の『大丈夫』というのは信頼できない。医師不足を感じる。看護師も戻っていない。現状を次世代に伝えなければと思いました。世界の人に苦しみを味わわせないために訴え続ける」と述べました。

 氏家裕貴さんは、いわき沖の魚を中心に和食店を営んできました。地元海産物を扱えない苦労を証言。「経営は順調だった」のが原発事故で売り上げが激減。妻が店を切り盛りし、新聞配達や工場での勤務など三つの仕事を掛け持ちしました。「3時間しか眠ることができない困難に直面させられました。妻に迷惑をかけ、耐え難い苦悩の8年間だった」と陳述しました。

 佐藤吉行さんは有機農業の困難についてのべ「農業離れに拍車をかけた。ここで死ぬしかない。東電は怒りを受け止めていない」と証言しました。

(「しんぶん赤旗」2019年5月9日より転載)