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福島第1原発事故から8年2カ月・・汚染水・核燃料実態は 共産党福島県議団など視察

 東京電力福島第1原発事故からきょうで8年2カ月。放射能汚染水の処理、使用済み燃料の取り出し、事故原因の究明と核燃料デブリ対策など、事故収束と廃炉に向けた課題は山積しています。日本共産党福島県議団などが9日に行った同事故現場の視察に同行しました。(福島県 野崎勇雄)

“県民は気休まらない”

 一行は東電が用意したバスで約1時間、構内を視察しました。1号機原子炉建屋の西側高台でいったん降車し、海側に向かって右方向(南側)へ4号機までの現状の説明を受けました。

福島第1原発の1号機原子炉建屋(右後方)を見る参加者。右端は東電職員=5月9日、福島県大熊町

 1号機では原子炉格納容器上階のオペレーティングフロア(運転室)のガレキ撤去に向けた作業を2018年1月から実施。2号機では今年4月から同フロア内の片づけに着手したばかりです。核燃料取り扱いクレーンを覆うドーム屋根を付けた3号機は、同月から使用済み燃料プール内の核燃料(566体)の取り出しを開始。炉心溶融(メルトダウン)した3原子炉は注水が今も続いています。

 参加者からは「3号機の燃料取り出しがようやく始まったばかり。県民にとっても気が休まらない状況が続く」「燃料デブリの状況一つとっても解明されず、安全に廃炉に行きつくまでどのぐらいかかるかも分からない。福島第1原発の現状をみれば、一刻も早く原発依存をやめ、再生可能エネルギーに転換すべきだ」との声が上がりました。

 4号機は14年12月下旬に使用済み核燃料プールから核燃料すべて(1535体)の取り出しを完了。共用プールなどに移して貯蔵・管理しています。

 一行は、汚染水から(トリチウム=3重水素以外の)放射能を取り除く多核種除去設備(ALPS)の3施設、汚染水量の増加を抑制するための地下水くみ上げや凍土遮水壁などの現場を視察。敷地の多くを汚染水関係の1000トン貯蔵のタンク約1000基が占めます。今もタンクを増設中です。

 視察後、東電関係者と質疑応答の場が持たれました。

 応対した職員の代表は「原発が安全だと思っていたのはわれわれのおごりであり、反省しています」と、改めて事故に対する謝罪の弁を述べました。

 これに対し宮本しづえ県議は「反省するという出発点に立つなら、被災県民にしっかり寄り添い、被害実態に向き合うということがなにより重要です。東電の賠償に対する姿勢はきわめて遺憾だ。おごりだった、反省に立っているとは見受けられない」と指摘。宮川えみ子県議も「(事故収束と廃炉に向けた動きだけで)住民サイドの被害が見えてこない」と話しました。

 野口てつろう党県書記長(参院福島選挙区候補)は、東電福島第2原発の廃炉の決断を要求。神山えつこ県議が「第2原発の廃炉をまず決断すべきだ。東電社長の廃炉検討発言から1年4カ月もたっており、福島県民を愚弄(ぐろう)していると思う」と強調しました。

 東電関係者は、「(出された意見を)関係するところに伝えたい」とこたえました。

(「しんぶん赤旗」2019年5月11日より転載)