東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第37回公判が3月12日、東京地裁(永渕健一裁判長)でありました。弁護側が最終弁論を行い巨大津波は予見できなかったとして、勝俣恒久元会長(78)、武黒一郎元副社長(72)、武藤栄元副社長(68)は無罪を主張しました。2017年6月の初公判から1年8カ月余り続いた公判は結審。永渕裁判長は判決期日を9月19日に指定しました。
最終弁論で弁護人は、2002年7月に公表された国の地震予測「長期評価」について「信頼性と成熟性がなかった」と繰り返し主張。「事故を回避するのも不可能だった」などと述べました。弁護人の後、3人は「つけ加えることはありません」と同じ意見を述べました。
検察官役の指定弁護士は「長期評価」は「科学的裏付けがあり、信頼性が高かった」と指摘。これに基づいて最大15・7メートルの津波が襲来するとする計算結果も得ていたのに、対策を先送りしたと、3人に対し禁錮5年を求刑しています。
公判後の会見で福島原発告訴団の武藤類子団長は「すべての公判を傍聴し、(3人に)責任があると明確に感じられる裁判でした。事故から昨日で8年。無罪を繰り返し主張する内容を聞いていて、亡くなった方たちの死は何だったのだろうか。私たちが受けた原発事故の被害は何だったのだろうかと思いました」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2019年3月13日より転載)