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原発事故 国責任否定・・千葉地裁 避難者訴訟2件目

 東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県に避難した6世帯19人が国と東電に計約2億4700万円の損害賠償を求めた福島原発千葉訴訟第2陣の判決が3月14日、千葉地裁でありました。高瀬順久裁判長は国の責任について、東電に津波防護措置を指示しなかったのは「不合理な判断とはいえない」と、国の責任を否定しました。

 東電に対し4世帯9人に約509万円の賠償を命じました。千葉1陣訴訟判決が認めた「ふるさと喪失慰謝料」について、「生活基盤が破壊されたとも精神的損害を被らせたともいえない」として認めませんでした。

 全国で約30ある同様の集団訴訟で9件目の一審判決。国が被告になった7件の裁判で、国の責任を認めなかったのは17年9月の千葉1陣訴訟判決に続く2件目です。

 高瀬裁判長は、国は遅くとも06年には原発の敷地高を超える津波の到来を予見できたとしつつ、「津波対策より地震対策を優先させた判断が不合理とはいえない」とし、原告側が主張する防潮堤などの対策では事故は防げなかったとしました。

 原告は、緊急時避難準備区域の1世帯以外は避難指示区域外からの避難者です。判決は、放射線被ばくへの恐怖や不安を感じて避難することは「一定の場合は合理性が認められる」として、個別事情に応じて避難の合理性などを判断したといいます。

原告ら「極めて不当」

 「最悪だ。何を考えているのか!」。法廷には怒りの声があがりました。

 菅野貴浩・2陣原告団長は「言葉が無い」と肩を落とします。「1陣判決よりもひどい。頭の中が真っ白。『ふるさと喪失』についても訴えたが裁判長には響いていなかった」

 福島市内から千葉市内に避難している原告の女性(63)は「全身の力が抜けてしまいました。最低・最悪の判決です」と悔しさをにじませていました。

 千葉市内の弁護士会館で開かれた報告集会でも怒りの発言が。福島県から駆けつけた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団の中島孝原告団長は「無責任な裁判長の姿勢です。絶対に認められない」。「元の生活をかえせ・原発被害いわき市民訴訟」原告団の伊東達也原告団長も「福島県民はあしげにされていると思う。怒りを禁じえない」と憤ります。

 原告団・弁護団、原告と家族を支援する会は同日連名で声明を発表。「前橋、福島、京都、東京及び横浜の各地裁が正当に認定した国の加害責任を断罪する判断を、再び否定する極めて不当なもの」とのべ、「新たな決意で、原発被害の完全賠償が実現するまで総力をあげてたたかう」と表明しています。

(「しんぶん赤旗」2019年3月15日より転載)