「夢の原子炉」。高速増殖炉「もんじゅ」は、かつてそう呼ばれていました。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料で発電し、使用した以上の核燃料を生み出す―。
しかし、技術的な困難さからゆきづまり、1・1兆円も費やしながら2016年12月、廃炉が決定。廃炉には30年以上、約3800億円以上かかるとされています。これらの費用はすべて国民の税金です。
3月4日の参院予算委員会で、野党側から興味深い追及がありました。「設計もできなくて、本当にできるのか。もんじゅと一緒なのではないか。さんざん税金使って結局できないのではないか」。
ここで議題になっているのは、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設です。埋め立て予定区域のうち、大浦湾側で最深90メートルもの軟弱地盤の存在が発覚。地盤改良が可能な施工深度は70メートルにとどまり、しかも国内の実績は65メートルまでです。
政府は当初、工期を5年としていましたが、工期も総工費も白紙に戻りました。一方、軟弱地盤がない区域では今日も土砂投入が続けられ、毎日数千万円もの税金が費やされています。破たんが見えつつあるのに、税金が湯水のように投入され、国民の声を無視して強行する。辺野古は「もんじゅ」と同じ道を進んでいるようにしか思えません。
この先に待っているのは、何兆円もの税金がどぶに捨てられ、普天間基地も返還されないという最悪の結末です。せめて、いまは一度立ち止まって冷静に考えるときです。
(「しんぶん赤旗」2019年3月8日より転載。見だし=山本雅彦)