東京電力は2月14日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内に調査機器を投入し、底部に溶け落ちた核燃料デブリとみられる小石状の堆積物をつかんで持ち上げるなどした調査状況の動画を公開しました。調査は13日実施。核燃料デブリへの接触調査は2011年の事故発生以来初めて。
調査機器は長さ30センチ、幅10センチで、カメラや照明、温度計、線量計のほか、先端に長さ約3センチのギザギザの「指」を搭載。格納容器の貫通部から伸縮パイプで挿入し、作業用足場の脱落部から下につり下げました。デブリが堆積する底部の35×40センチの領域内の6カ所を「指」で接触調査。5カ所で、構造物の残がいや1~8センチ程度の小石状の物体をつかんで持ち上げることができました。
粘土状に見えた1カ所では堆積物をつかんだり持ち上げたりできませんでした。「指」の握力は700グラム。堆積物は、もろく崩れやすいものではなく一定の硬さがあると東電はみています。
足場の脱落部周辺4カ所も調査。小石状と粘土状に見えた堆積物のいずれも底部と同様の挙動を示しました。
13日夜の記者会見で福島第一廃炉推進カンパニー広報担当の大山勝義氏は「小石状のものであればデブリ取り出しのシナリオが成り立つ」とした一方、つまみ出せないデブリについては新たな機器開発の必要性が明らかになったと述べました。
調査の現場作業に30人、調査機器の遠隔操作に16人が参加。作業員の被ばく線量は最大0・68ミリシーベルトでした。
2号機の格納容器内部では昨年1月の調査で、1時間当たり8シーベルト(1時間以下で人間の致死量に達する)という極めて高い放射線量が確認されています。
(「しんぶん赤旗」2019年2月15日より転載)