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原発輸出 総破たん 再エネ政策に転換求める・・笠井政策委員長が質問/衆院予算委

(写真)質問する笠井亮議員=2月13日、衆院予算委

 日本共産党の笠井亮政策委員長は2月13日の衆院予算委員会で、安倍晋三政権がトップセールスしてきた原発輸出が総崩れする中、いまだに原発に固執する姿勢を厳しく追及しました。

 笠井氏は、日立製作所が1月17日に英国での原発建設計画を「経済合理性の観点から」「凍結」すると発表したことを指摘。安倍首相が輸出の「大前提」としていた「経済性」は成り立たないと市場が「ノー」を突き付けたとして「首相の責任は重大だ」と批判しました。

 第2次安倍内閣発足以降、首相の外国訪問に979社、延べ約5000人が同行してきたことについて、笠井氏は、2020年までに海外受注を2兆円にすると掲げていた政府の目標にふれ、実績を質問。直近の実績がゼロだと認めた世耕弘成経産相を、笠井氏は「この国策は机上の空論だった」と批判しました。

 安倍首相は原子力の「世界における平和利用の責任を果たしていく」などと答弁。笠井氏は、福島第1原発事故の収束もできず、多くの県民が避難生活を強いられている状況での原発輸出の推進は「倫理的にも許されない」と痛烈に批判しました。

 笠井氏は、資源エネルギー庁が紹介した国際エネルギー機関(IEA)の電力市場規模の変化の見通しに言及。40年のパリ協定目標達成水準で、17年と比べて再エネ、原子力の金額がいくら増減するかをただしました。世耕氏は、再エネが180兆円プラス、原子力が20兆円プラスとなると答弁。笠井氏は「世界のトレンド(流行)は明らかだ。発想を根本的に変えないと、ますます日本は取り残される」と指摘。「何の反省もなく、再稼働などは論外だ。今こそ再エネへの転換をするタイミングだ」と強く主張しました。

原発に市場も「ノー」・・衆院予算委 笠井議員の追及

(写真)質問する笠井亮議員(左)=2月13日、衆院予算委

 13日の衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員は、安倍政権が「成長戦略」の目玉として進めてきた「原発輸出」計画が全滅し、ビジネスとして成り立たないことが明らかになったのにもかかわらず、原発輸出と国内原発再稼働にしがみつく姿勢をただしました。

英への輸出「凍結」は「経済性」が成り立たぬ証明

首相「個別判断にコメント控える」

 日立製作所はイギリスで100%子会社のホライズン・ニュークリア・パワー社によるウィルファ原発建設計画を進めてきました。しかし2018年に「安全対策」などで総事業費が当初の1・5倍の約3兆円と採算ラインを大きく上回る巨額に達し、日立は資金調達のめどが立たなくなり、「凍結」に追い込まれました。

 中西宏明経団連会長(日立製作所会長)は「難しい状況」「もう限界だと思う」と述べ、日立の東原敏昭社長は「凍結」を発表した1月17日の会見で「民間企業の経済合理性からすると、合意には想定以上の時間がかかると判断した。これ以上の投資は民間企業としては限界だった」と述べました。

 笠井氏は「今年1月10日の日英首脳会談の共同声明で改めて『英国における新たな原発建設』を位置づけているが、もはや限界となり破綻している」と追及。笠井氏は「経済合理性から凍結したということは、もう行き詰まっていることは明らかだ」と批判しました。

 笠井 英国への原発輸出は首相がいう「大前提」である「経済性」が全く成り立たないことが証明され、市場がそう判断したということではないか。

 安倍晋三首相 民間企業における個別の経営判断についてはコメントは控える。英国は日本にとって長年にわたるエネルギー政策における重要なパートナーであり、今後も協力を深めていきたい。

 笠井 人ごとではない。日英首脳間で協定を約束してきたものだ。計画凍結が報道されたとたんに日立の株価は9%も急上昇した。市場がノーを突きつけ暗礁に乗り上げ破綻したということだ。

首相「今後も原子力の国際協力を推進」

安倍政権は世界の流れも市場経済もわかっていない

 安倍首相が成長戦略の柱に原発輸出を位置付けたトップセールスの中で、13年4月28日から5月4日までのロシア・中東訪問には原子炉メーカーの日立や三菱重工業、東芝が同行したことが明らかになりました。その訪問で安倍首相は「アラブ首長国連邦やトルコで新たな原子力協定の締結、トルコではシノップ原発について交渉権を獲得した」と答弁し政府と原子力産業ぐるみで推進してきたことを示しました。

 笠井氏は「海外での原発建設プロジェクトがどれも進まず凍結・中止というのが現実だ」と指摘。英国のクラーク担当相(ビジネス・エネルギー・産業戦略相)は日立の計画凍結について「一層厳格な安全規制というファクターが加わると、原発の新設プロジェクトでは、その多くでコストが増大する」と述べていることを挙げ、「福島原発事故の教訓から、どこでも安全対策コストが急騰して総崩れになっている」と批判しました。

 笠井 原発輸出を「経済性」を口にしながら「国策」としてトップセールしてきたが、その責任をどう感じるか。

 首相 わが国の原子力技術、人材の基盤を維持強化しながら世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応に責任を果たしていく。今後も原子力に関する国際協力を推進していく。

机上の空論の国策 まだつづけるのか

 笠井氏は福島原発事故前の10年は3000億円あった原子力の海外受注を20年は2兆円にするという目標を掲げていたことを挙げ「2兆円の目標自体に展望がないどころか、この国策が机上の空論だったということだ。こんな原発輸出戦略をまだ続けるつもりか」と迫りました。

 笠井氏は「原発輸出戦略への何の反省もなく、国内では原発を再稼働し、国内で新増設を狙うなど原発に固執し続けるのは論外だ。福島原発事故の収束もできず、事故を起こした原子炉メーカーと一体に政府が原発輸出を進めるなど倫理的にも許されない。キッパリやめるべきだ」と批判しました。

 国内の原発を持つ電力10社と大間原発(青森県)を建設中のJパワーの「安全対策」コストを合わせると18年度は約4兆6千億円で5年間で2・5倍に膨れ上がっています。

 笠井氏は「それらはすべて電力料金として利用者負担だ。再生可能エネルギーの政策が世界から見ても日本での普及が大きく遅れすぎているからだ」と指摘しました。

 笠井 国民のなかでは原発ゼロ、原発輸出などやめるべきだという世論が多数派だ。もはやビジネスとしても成り立たないと市場がノーを突きつけた原発とは手を切り、国民と市場が喜ぶ方向に転換する旗こそ政治が振るべきだと思わないか。

 首相 原発依存度を可能な限り低減していく考えの下で再生可能エネルギーの最大限の導入を図ることは安倍内閣の一貫した方針だ。

 笠井氏は「原発にしがみつく安倍政権は世界の流れも、市場経済もわかっていない」と批判。「野党4党は原発ゼロ、再エネへの抜本的転換をめざす『原発ゼロ基本法案』を共同提出している。日本国民の安全も、エネルギーの未来も、産業の健全な発展も安倍政権のもとではありえない」と強調しました。

(「しんぶん赤旗」2019年2月14日より転載)