東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県に避難した17世帯43人の住民らが国と東電に対し損害賠償を求めた福島原発千葉訴訟の控訴審第3回口頭弁論が2月15日、東京高裁(白井幸夫裁判長)で開かれました。白井裁判長は今後の予定について「現地にうかがいたい」と述べ、現場の実態を確認するため、6月後半に原告が住んでいた避難区域の検証を行うことを決めました。具体的な場所はまだ決まっていません。一審の千葉地裁では現地検証が認められていませんでした。
福島原発事故をめぐる同様の集団訴訟で、高裁の裁判官が現地検証するのは仙台高裁に続いて2例目。
この日の弁論では、住民側の弁護士が陳述。東京地裁で行われている東電旧経営陣の刑事裁判を踏まえ、津波防護の多重化として、浸水を防ぐ建屋の水密化などの措置を講じていれば事故を回避しうる可能性があったことや、東電の甘い対応を放置した国の責任を明らかにしました。
一昨年9月の一審千葉地裁判決は、国は津波を予見できたものの事故は回避できなかったとして、国の責任を認めませんでした。一方で、東電に対し総額3億7600万円の賠償を命じ、住民側、東電の双方が控訴しました。
(「しんぶん赤旗」2019年2月16日より転載)