太陽光や風力など再生可能エネルギーを主力電源化するためにはどんな課題があるのか―。東京都内で研究者らのシンポジウムが2月2日開かれ、100人が参加しました。再エネの大量導入は技術的・経済的に可能であり、課題は制度的・政策的なものだと議論されました。主催は科学研究費基盤研究(代表=大島堅一・龍谷大学教授)。
昨年7月に国が決めたエネルギー基本計画は原発推進に固執する一方で、再エネは「主力電源化へ布石として取り組む」と盛り込みました。大島氏はこうした経緯に触れ、日本では電源構成比で再エネの割合が大きく増え「主力電源化に向けて変わっている」と紹介。一方、原子力発電は「衰退・消滅しつつあり」、政府が掲げる30年度までの「20~22%目標」は「掛け声だけ」と指摘しました。
高村ゆかり・東京大学教授は、再エネについて「高い」「あてにならない」など、これまで言われていたことは変わってきており、再エネは「十分担い手になりうる」と述べ、系統対策・電力ネットワークや、固定価格買い取り制度(FIT)見直しのあり方などの課題を挙げました。
竹濱朝美・立命館大学教授は原発稼働ゼロなどを条件に、太陽光と風力発電の大量導入による30年の電力需給バランスを推計した試算を示し、地域連系線の増強が必要と述べました。
安田陽・京都大学教授は再エネ導入を阻むのは「技術的問題ではなく、制度的問題だ」と強調しました。再エネのおかげで電力系統への投資が進んでいる欧州と、それにはコストがかかるという日本の情報ギャップに触れ、「世界の常識は日本の非常識」と指摘。日本では再エネの経済的な便益について合意形成ができていないと述べました。
(「しんぶん赤旗」2019年2月4日より転載)