原子力規制委員会は16日、3、4号機が稼働中の関西電力高浜原発(福井県高浜町)に関して、海底地すべり単独で津波が発生した場合、津波警報が発表されずに津波が敷地に到達する可能性があるとして、影響評価を関電から聴取することを決めました。
インドネシアで昨年12月、火山島アナク・クラカタウの噴火により津波が発生し、数百人の死者が出ました。この時、津波警報が発表されなかったことが被害を大きくしたと指摘されています。
高浜原発は津波警報が発表された後に、通常開いている取水路の途中に設置してあるゲートを閉鎖し、津波の敷地への溯上(そじょう)を防止するとしています。高浜原発の敷地高さは3・5メートルですが、ゲートの高さは8・5メートル。敷地に最も影響を与えるとされている、若狭海丘列付近断層と隠岐トラフ海底地すべりの組み合わせによる津波高さは、ゲート地点で5・5メートルと評価されています。
隠岐トラフ海底地すべり単独では、ゲートが閉鎖されていた場合、津波高さは4・1メートルと評価されています。しかし、この場合、地震発生などを元にした津波警報が発表されない可能性があり、ゲートが開放された状態で津波が到達する可能性があります。
これまで同原発の審査では、ゲートが開放された状態の津波高さや溯上域、重要設備への影響は評価されていません。規制委は、関電から公開の会合で評価内容などを聴取することにしました。現段階で高浜原発の停止などを求めないのかについて、規制庁の職員は「津波で安全機能が失われるのか、失われないのかを見たうえでの判断」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2019年1月17日より転載)