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「牧場失い心も死んだ」・・いわき避難者訴訟 原告が陳述

裁判所まで行進する原告団・弁護団=12月19日、いわき市

 東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島県楢葉町、富岡町、川俣町山木屋、南相馬市などの住民が東電に損害賠償を求めた「いわき避難者訴訟」(2陣と3陣、早川篤雄統括原告団長)の口頭弁論が12月18、19日の両日、福島地裁いわき支部(名島亨卓裁判長)で開かれました。

 19日は、川俣町山木屋地区の原告、米倉啓示さん、大内慶壽さん、大内あゆみさん、鴫原(しぎはら)勝由さんの4人が陳述しました。

 米倉さんは、山木屋で牛を放牧する酪農家でした。「本物の食べ物をつくろう」と、自然の中で牛を育ててきました。

 原発事故は、牧場の土と草を放射能で汚し「全てを無くしました。牛のいない牧場は墓場です。食べ物は命の支え。牧場という人生の大舞台を失い心まで死んでしまった」と、涙で訴えました。

 大内さんは、代々続いてきた葉タバコとコメの専業農家。避難で農作業が中断したことで、再開は無理だと述べました。「故郷で先駆者が築き上げてきたものが一瞬にして無くなりました。人生をぶった切られた思いです」

 娘のあゆみさんは「高校2年生のときに先生から進路について聞かれ、食の大切さを学び管理栄養士を志すと答えました。21歳のときに農業を継ぐ決意をしました。原発事故から7年がすぎて、一からやり直すと何年かかるかわかりません。農業は一人ではできない。残念です」と悔しい思いを語りました。

 鴫原さんは「農業再開のめどはありません。生活設計がたちません。葉タバコは山木屋の基幹産業でした。近い将来消滅してしまう」と、危機感を訴えました。

(「しんぶん赤旗」2018年12月20日より転載)