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COP24 NGOが評価・・各国の目標 報告受け見直しを & 「パリ協定」実施ルール 各国の真剣さが問われる

COP24 NGOが評価・・各国の目標 報告受け見直しを

 【カトウィツェ(ポーランド南部)=岡本あゆ】国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が12月15日、閉幕しました。環境NGO・地球環境市民会議(CASA)は、「基本的にパリ協定を実施に移すことができるルールブックになった」と評価。ルールの大枠が決まり「協定が予定通り、2020年から始動することが可能となった」としました。

 気候ネットワークの平田仁子理事は「ルールの中身を読むと“(気候変動対策の)行動を引き上げる必要がある”という要素がたくさんある」と説明。

 ルールの合意文書は、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が提出した“2030年にも世界の気温上昇が1・5度に達する”との科学報告に触れ、実質的に各国に目標の引き上げを勧めています。

 平田氏は「このルールから何を受け止めるかが、日本の課題だ」と強調しました。

 世界自然保護基金(WWF)ジャパンの山岸尚之室長も、各国は科学報告の警鐘を持ち帰り、目標を見直すべきだと指摘。

 「日本は来年のG20の議長国で、気候変動問題に“リーダーシップを発揮する”と言っている。必ず、目標を引き上げてくれるものと期待する」と述べました。

 また会議での日本の存在感について、気候ネットワークは「限りなく透明に近い」と表現。COP期間中に、あらたな資金拠出や、目標の引き上げを発表する国も出た中、「日本が注目を浴び、拍手を受けるような場面」は見られなかったとしました。

(「しんぶん赤旗」2018年12月17日より転載)


「パリ協定」実施ルール・・各国の真剣さが問われる

 すべての国が気候変動対策に取り組むことを約束した「パリ協定」が調印されて3年。この3年間にも、ハリケーンや台風の巨大化、豪雨やかんばつ、山林火災など多くの人命と損害を招く気候災害が頻発し、地球温暖化対策が一刻を争うことが明らかになるなかで、約200カ国の交渉で協定の「実施ルール」が決まりました。

 協定に「命を吹き込む」と言われる「実施ルール」。エスピノサ国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長がいうように、これは道筋を示した「ロードマップ」にすぎません。今後、経済や社会の大規模な変革が必要とされる地球温暖化対策には、国、自治体、企業、市民の共同した取り組みが必要となります。

 この点では、先進国をはじめとする各国の真剣さが問われます。

 12月15日から16日未明にかけて開かれた閉会総会で、環境NGOの代表は、「地球の緊急事態にふさわしい対応ではない。多くの国の指導者に、政治的意思が欠けている」と述べました。

 世界的取り組みを進めるにあたって、今回の会議で再燃した先進国と途上国の対立は今後に課題を残しました。

 巨大排出国となった中国などとの「対等な競争条件」や「国益」を追求する米国をはじめ先進国は、「実施ルール」を排出削減中心ですべての国の共通のルールにすることに「成功」しました。

 しかし閉会総会で途上国の代表は、「排出削減が中心で、適応は二の次となり、バランスを欠く」「共通だが差異ある責任の原則がないがしろにされている」などと強い懸念を示しました。

 マレーシアは「現在を理解し、未来を計画するには過去を無視することはできない」として、「欧州や北米は、化石燃料の使用で繁栄してきた。これこそが気候変動の出発点だ」と述べました。

 先進国の歴史的責任にふさわしい積極的な排出削減と途上国への支援を通じて、「気候の正義」を実現することこそ、世界的な気候危機を乗り越えていく正道でしょう。

 同時に、今回のCOPでは先進国や途上国の枠を超え、都市や企業、大学などが手を携えて、排出削減の高い目標や石炭からの離脱を目指す多様な動きがみられたことは、未来への希望となりました。その中に日本政府がいなかったことは、残念というしかありません。

(カトウィツェ〔ポーランド南部〕=伊藤寿庸)

(「しんぶん赤旗」2018年12月17日より転載)