「国際社会が断固として取り組むロードマップ」
【カトウィツェ(ポーランド南部)=伊藤寿庸】国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)は12月15日深夜から16日未明(現地時間)にかけての総会で、地球温暖化対策を定めたパリ協定の「実施ルール」を採択し閉幕しました。今後、「実施ルール」に基づく国際的な機構や取り組みを通じて、今世紀中の気温上昇を2・0度を十分下回るように抑え、1・5度以内を目指すとするパリ協定の目標へ、世界全体の温室効果ガスの排出削減を実際に進められるかどうかがカギとなります。(関連15面)
会議の直前に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「1・5度特別報告書」によって、島しょ国や後発開発途上国には、先進国による排出削減の上積みや、ますます深刻化する気候被害対策への資金の約束への期待が高まっていました。しかし会議では、欧州連合(EU)以外の先進国から削減目標上積みの声はなく、逆に米、サウジなどによって「1・5度報告書」への言及が弱められたことに不満が表明されました。
エスピノサ国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長は交渉が最後まで難航した「実施ルール」について「多国間主義が結果をもたらした。気候変動に国際社会が断固として取り組むロードマップだ」と指摘。グテレス国連事務総長は、メッセージで、「実施ルール」が気候変動対策の強化へ「社会を大きく変化させるプロセスの基礎」だと指摘しました。
途上国は意見表明の中で、「実施ルール」が排出削減中心で、気候変動の被害を少なくする「適応」対策は二の次となっていることに不満を表明。島しょ国を代表したモルディブは、「気候変動はわれわれの対応能力を上回る速度で進んでいる」として資金・技術移転や「損失と被害」への対応を求めました。
COP25は19年11月、チリで開かれます。
(「しんぶん赤旗」2018年12月17日より転載)