COP24inポーランド 「ルール」策定 協議続く・・島しょ国など“高い目標を”
【カトウィツェ(ポーランド南部)=伊藤寿庸】国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)は会期を延長して12月15日まで、パリ協定の「実施ルール」をめぐる閣僚級の非公式協議を続けましたが、合意に至っていません。
閉幕予定の14日未明に提示されたポーランドによる議長提案は、パリ協定に基づいて各国が削減目標などを報告する国別目標について、先進国と途上国を区別しない共通ルールとする内容。先進国による資金拠出の約束などをめぐり途上国側には不満の残る内容となっていますが、妥協点を探る折衝が続いているものとみられます。
14日午後には、島しょ国と後発開発途上国の代表が「COP決定の中心に、(気候変動に関する政府間パネル=IPCC=が発表した)『1・5度報告書』が置かれるべきだ」と訴える会見を開催。モルディブのハッサン環境相は「ある1カ国が(1・5度報告の内容を認めるのを)ブロックしている。彼らに我々がどう生き残るかをブロックする権利があるだろうか」。
「1・5度報告書」については、パリ協定が目標とする気温上昇を「2度未満」に抑えても国家の存続が危ういとされる島しょ国や後発開発途上国をはじめ多くの国が歓迎する一方、サウジ、米、ロ、クウェートが内容に異議を唱えています。
また14日には、パリ協定の目的実現のために目標引き上げが必要だとして、ドイツ、英国、フランスなどのEU諸国や島しょ国など途上国、都市、企業などによって結成された「ハイ・アンビション連合」も各国の閣僚がそろって記者会見し、「気温上昇を1・5度に抑えるためには、より高い目標が必要だ」と訴えました。
(「しんぶん赤旗」2018年12月16日より転載)
COP24inポーランド・・「民衆の声聞け」若者ら訴え
【カトウィツェ(ポーランド南部)=岡本あゆ】カトウィツェで開かれている国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)で12月14日、パリ協定のルール決定の議論が最終盤に入る中、若者らが会場の階段に集まりました。
若者らは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が出した科学報告の歓迎に、米をはじめ一部の国が抵抗していることなどを非難。「企業ではなく、民衆の声を聞け」と叫び、気候変動対策への緊急の行動が差し迫っていると訴えました。
若者らは「化石燃料企業は人権を侵し、私たちの農業や漁業をこわし、気候変動の被害にさらしている。こんな活動にノーだと言おう」と演説。「企業を追い出せ」「民衆に力を」とコールしました。
アフリカからの参加者は「世界では日々、海面が上昇し、(異常高温による)大火災が起き、人々の土地が失われていく」と指摘。
ブラジルから参加したアマゾン先住民族の若者らは、「あなた方(先進国)に聞きたい。私たちの命は、あなたにとってどれほど問題なのか。あなた方の生活は、私たちの暮らしより重いのか」と語り、「気候ではなく、世の中のシステムを変動させよう」と呼びかけると、参加者から大きな拍手が起きました。
(「しんぶん赤旗」2018年12月16日より転載)