Q 原子力損害賠償法(原賠法)が改定されたけど、どんな法律なの?
A 原発で重大な事故が起きた際の賠償制度を定めたもので、1961年に制定されました。事故を起こした電力会社に、過失・無過失にかかわらず賠償責任があるとする「無過失責任」と「無限責任」が原則です。電力会社に用意を義務づける賠償措置額を1200億円(制定時、50億円)としています。
Q なぜ改定なの?
A 東京電力福島第1原発事故を受け、現行制度で対応できないことが明らかになりました。賠償額はすでに8・6兆円に上り、賠償措置額の1200億円では全く足りません。国会も政府に対し「抜本的な見直し」を求めていました。法律の適用期限が来年末でした。
Q どう改定されたの?
A 肝心なところは全く変わりませんでした。賠償措置額は据え置き、電力会社に融資した大手銀行や原発メーカーの責任も不問にしたままです。
東電が賠償の範囲などを決め、被害者が申し立てたADR(裁判外紛争手続き)の調停があっても拒否している実態を改める内容になっていません。原賠法の目的(1条)にある「原子力事業の健全な発達に資する」も削除しませんでした。
福島原発事故で、国民負担で東電を支える枠組み(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)をつくりましたが、今後の事故にあたってもこの枠組みを使って、全国の原発再稼働に備えようとしています。
(「しんぶん赤旗」2018年12月16日より転載)