COP24inポーランド 「化石燃料産業は無傷」 首脳級会合始まる 途上国が批判
【カトウィツェ(ポーランド南部)=伊藤寿庸】国連の気候変動枠組み条約第24回締約国会議は12月3日、各国首脳が出席する開会総会が行われ、ポーランドのドゥダ大統領が演説したほか、国家元首や政府首脳25人が気候変動に対する世界規模の行動の必要性を訴えました。(関連14面)
国連のグテレス事務総長は平均気温1・5度上昇時の被害予測の報告書などに触れ、「科学はわれわれが気候変動対策を大幅に強めることを求めている」と指摘。パリ協定の実施ルールの策定、途上国への資金援助の重要性を強調しました。
南部アフリカのナミビアのクーゴンゲルワアマディラ首相は、先進国による「排出削減努力が不十分であれば途上国の災害への脆弱(ぜいじゃく)性が高まる」として、先進国による途上国に対する資金援助の大幅増額を訴えました。
太平洋の島国ナウルのワガ大統領は、気候変動対策の「パリ協定」によっても世界の金融制度は変わらず、「国民の基本的必要性よりも、投機や軍国主義に走っている」とし、「化石燃料産業は無傷だった」と批判。「政治指導者は、気候危機を永続化させている権益に対して挑戦しなければならない」と呼びかけました。
欧州からは、スペインのサンチェス首相が2030年までに温室効果ガスの排出を70%削減、50年までに90%削減する、と宣言しました。
(「しんぶん赤旗」2018年12月5日より転載)
COP24inポーランド 北極氷・氷河が急減・・ネパール大統領「洪水多発」
【カトウィツェ(ポーランド南部)=伊藤寿庸】12月3日行われた国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)の首脳級会合では、アルプスやヒマラヤ、また北極圏などを持つ諸国の大統領が、地球温暖化によって劇的な影響を受けている実態を語り、危機感を表明しました。
ヨーロッパ・アルプスの国スイスのベルセ大統領は「気温上昇で新たな病気が発生しており、氷河の消失が急速に進んでいる」と述べ、「気候変動には世界規模の行動が必要だ」と訴えました。
スイスの隣国オーストリアのファンデアベレン大統領は、今年の夏が同国の史上最高の気温だったとして、これがとりわけ脆弱(ぜいじゃく)な生物圏であるアルペン地方を直撃していると述べました。
国土が北極圏にかかっているフィンランドのニーニスト大統領は「北極地方は世界平均の2倍の速度で温暖化が進んでいる」とし、北極圏に運ばれて雪氷の融解を早める「ブラックカーボン」の世界的規制を提唱しました。
ネパールのバンダリ大統領は「ネパールは低排出国であるにもかかわらず気候変動の並外れた影響を受けている」と述べました。氷河は解け、万年雪に覆われていた山は黒く変わり、氷河湖の崩壊の危険(大規模な土石流の発生など)が現実味を帯びています。土砂崩れ、洪水、干ばつなどが多発しており、「私たちがつくり出していない問題で、罰せられているように感じている。国際社会はこの問題で正義が行われるように保障しなければならない」と呼びかけました。
同国初の女性大統領のバンダリ氏は、土砂崩れによる断水によって、長時間の水くみを強いられるなど「気候変動が女性、先住民により大きな影響を与えている」とも指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2018年12月5日より転載)